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ふぅ〜あぶないあぶない

ほぼ面識の無い学園長のダル絡みに突き合わされる……あぁ、エックスッターで飲み会を断るサラリーマンのネタが定期的に話題になるのが分かった気がするぜ……


 俺が学生だと気づいたら何処からともなくビン入りの高そうな葡萄ジュースを出して来る。


「あっ、カップが無いなぁ。まあ若いんだし1本開けられるでしょ?」


 ぱきんと音がするとビンの上あたりが切り飛ばされる……このまま飲めと?アンプルじゃないんやぞ?


「あぁ、ガラスの細かい破片とかは気にしなくても良いよ。水魔法で切り分けただけだから破片は一切入って無いし」


「………学園長、案外フランクな人だったんスね。自分みたいなオマケで通わせて貰ってる平民は眼中に無いもんかと……あと水が出てないのにどうやって水魔法で切ったんです?」


「そりゃあ平民も通わせる様に取り計らったのは僕だからさ。あとガラスは厳密には“液体”だ。水魔法で操れる。魔法なんてファンタジーがあるんだ固定観念に囚われるより、どんどん拡大解釈して面白く使って行きなさい。君の身体強化もね」


 そう言うとワインボトルをデカいジョッキに変形させて水みたいにがぶ飲みする学園長。


 まぁ、せっかくだから飲むか。俺は差し出された葡萄ジュースに口を付ける。ッッッッ!何だコレは?!俺が今まで飲んでいたジュースは腐って居たのか?!渋みと酸味と甘みが高いレベルで調和して、あとからやって来る葡萄の香りが全てを包み込む!

 

 俺が葡萄ジュースの味に驚いてる様子を見ると満足そうにした学園長は何かガサゴソと探し始めた。


「食ってみな。飛ぶぞ」


 学園長がまるでスラムの売人みたいな顔でチーズを差し出して来る。ツンと微かなアンモニア臭に好みは分かれるがこれは白いチーズ?!俺達がよく知ってるチーズはジャンクフードに入ってるガチガチの黄色いプロセスチーズで、白く香り高いカマンベールチーズなんて滅多に出回らねぇ!


「うめぇ………うめぇっす学園長!」


「ナハハハハハ!そうだろ!そうだろ!こっちもやってみろ!」


「マジッスか?!頂きます!!」


 俺が住んでるダウンタウンじゃほとんど出回らない様な酒のツマミを次々と取り出してはうまいうまいと食う。


「そうだ。ついでに聞きたいんだが、レッドキャップの乗り心地はどうだい?アレは気難しいだろう?」


「いやぁ、一度デカい剣で切られそうになった時にヤケクソで頭にパワーを集中させて剣にヘッドバッドかましたら何か角が生えたっぽいんですよね。しかも後から生きてるって聞かされたしホントどうなってるんスかね。ミーシャさんが転校して来てからもうめちゃくちゃですよ」


「まあミーシャくんをこの学校に入れたのは僕だからね。僕の庇護下にあるぞってアピールを込めて」


「だったら俺が最近バタバタしてるの学園長のせいじゃないッスか〜!でもありがとうございます。おかげでやりたい事が見つかった気がします」


「そりゃあ良かった。僕もしがらみが多くて大っぴらに動けないんだ。君に掛けてみて正解だったよ。じゃあね。」


 学園長がそう言うと同時に俺は猛烈な眠気に襲われる。


「たぶん向こうに付いたらまた一騒動起こるだろうから十分休息を取って欲しい。ま、屋上でラブコメしてるから心配は要らないだろうけどね」


 あれ?そういえば学園長がミーシャを転入さ……せた…?レッドキャップ………知ってる…………なん…………で…………




◇◇◇




「それで?私にDr.花椒を買って来てくれるハズのオーカンくんはこんなとこで1人で何をしてるの?」


 気が付くと学園長の座っていた位置にはミーシャさんが居て肘をテーブルに突いて葡萄ジュースを煽りながらチーズをくちゃくちゃと噛んでいた。


「お、お嬢様におかれましてはその様な粗野な振る舞いは……おやめになられた方が……」


「は?嫌な事を思い出してナーバスになった私に飲み物を買って来てくれるって言うその気遣いに内心ちょっと嬉しくウキウキになってたのに………いつまで経っても帰って来なかったのは私の傷心なんてどうでも良かったんでしょう?」


 いやそんな事は………と考えた瞬間、ふと疑問がよぎる。この娘こんな事言う娘だっけ………


 よく見るとミーシャさんが飲んでるのは俺が飲んでいた葡萄ジュースだった。………ひょっとしてあのクソ学園長なんか盛りやがったか?


 ガチャリと扉を開けて学園長が入ってくるとツマミと葡萄ジュースが回収される


(ふぅ〜あぶないあぶない。回収を忘れて居ました)

「ミーシャさん。オーカンくんが無事に見つかって何よりです。でもそんなに責めてはいけませんよ?彼は貴女に恥を掻かせない為に地底ここの貴族の振る舞いやお金持ちに舐められない身だしなみとかを聞きに来てたんですよ。そしたらつい話こんでしまって………すみませんね」


「いえ!そんな……私もちょっと大人げ無かったです。スネたフリをして興味を引こうとしてましたもの。学園長にはいつもお世話になっていますし、お手を煩わせた様で……私からよく言っておきますね。」


 俺の時には地の底から這い出てくる様なドスの効いた声だったのに学園長相手には即座に他所行きの朗らかな声色に変わった。オンナッテ、コワイ


「普通に飲むと少し濃いでしょう?お水を置いて起きますね」

(必ずこの水を飲ませなさいオーカンくんいいですか?必ずですよ)


 颯爽と小部屋から学園長は出て行った

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