ちゃんと会話してる?!
鉱山見学当日、俺達は学園の地下に集められた。
案内された空間に出るとそこはまるで宇宙戦艦が収まりそうな巨大なターミナルだった。なんでも、学園防衛用のミサイルやら弾薬やらが収まってるんだと。
そういうのの中に一際大きな、バスというよりもクルーザー船サイズの乗り物に向かえと教師からの指示が飛ぶ。というかあの船……やっぱそうだよな!!
「アレ!みろよリータ!!この地底を踏破する為に作られた初期の地底探査船、コロンブスだぜ!水陸両用、CIWS搭載、しかも開発初期のオリハルコンドライブ搭載機じゃねぇの?!くぅ〜かっけぇ〜!!」
「左様。装甲厚30ミリ、魔力式空間力場発生装置搭載、副動力に魔力が放射能を中和する事から原潜等に使われる小型原子炉も搭載。主砲の威力はA級巨獣にも穴を開けるそうですぞ!」
「「いいなぁ〜〜!コロンブス!!」」
俺とリータはコロンブスを見上げてはその姿を目に焼き付けていく。タラップを踏みしめながら上がり、客室のドアを貴重品の様に丁寧に開く。
そこら辺の男子みたいに騒いでガンガンバンバン音を立てるモノじゃ無い。こういうのは全身で良さを感じるんだ………
通された客室の壁紙、座席やテーブル、その1つ1つが開拓初期の先人たちがここに居たのだと伝えてくれる……
退役艦の役目としては素晴らしいモノじゃないか!
「あなたはこういうのが好きなのですね?」
ミーシャが少し呆れた様な目でこちらを見てくる。なにおう!この良さが分からぬとは!まあいい。
「そりゃもう。メカ………というかロマンのあるものが好きなんですよ」
「ロマン……?」
「物語って言うのかな、そういうモノの上にある存在が好きなんだ。」
「あぁ、あのバイクもお父上が乗って居たものだから丁寧に直して居たんですものね。」
「そうさ。そうだな………例えばミーシャさんだってお母さんから貰ったアクセサリーと、その辺の店で買ったアクセサリー、どっちを大切にする?」
ミーシャが少し驚いた顔をするが、すぐにいつもの優しい雰囲気に戻る
「お母様のアクセサリー……ですね。」
「でもその辺で買ったアクセサリーを大事に大事に使い続けていつか子供が出来た時に渡すなら大事にして欲しいって思うだろ?」
「それはまあ……そうですね。」
「このコロンブスだって同じだよ。地底の魔法技術と地上の科学技術が始めてぶつかった魔科学黎明期の紆余曲折の末に何とか形になったモノだって思えば、ただの履帯のついたデカい船以上の価値があると思わないか?」
「なるほど……あなたがマンガやアニメが好きなのもそういう所なのですね?」
いつの間にか並べられていたティーカップに口を付け微笑むミーシャをつい直視出来ずに目を逸らすと隣ではハイカ様がリータの早口解説をニッコリと聞かされていた。…………まあ本人が楽しいなら良いか。
「………資料によるとこのコロンブスは探査をはじめて5年目に巨大な恐竜と戦いになったそうです。その恐竜は50メートルを越えており、当時最新式のギブラニアでもほとんど傷を付けられなかったとか。しかもその背中には原始的な村があり、トカゲ人間が居たそうです。彼らはギブラニアと戦った数カ月後、恐竜の肉体100%のナマのギブラニアを作りこの船に反撃を仕掛けて来たとか!まるで地上のロボットアニメの金字塔、ゲッダーンロボの爬虫人類の様で心躍りますよな!!」
「ゲッダーンロボというと貴方が大好きと言って憚らないストロングロボティクス界戦って言うゲームに出てくる?」
「そうでござる!!レプティリアンと言って陰謀論だのなんだのにも出て来ますが、拙者から言わせればトカゲ人間はゲッダーンロボの爬虫人類ですな!!」
……ちゃんと会話してる?!テキトーにニコニコして話を合わせるだけかと思ってたらハイカ様やるなぁ!
[えぇ、ただいま鉱山都市ダンベルドに向かう準備が整いました。これよりコロンブス、出航いたします。学生の皆様はぜひ展望席にお越しください。]
艦内放送が響くと共に僅かな振動が起こる。
俺達をのせて、コロンブスはゆっくりと進み始めた。
◇◇◇
チッ、機関長のタルダンの野郎め
てめぇにメカのイロハを仕込んでやったのはこのドルブ様だろうが!それを今はあの頃とは違うだの、立場が変わっただのピーチクパーチク………だがコロンブス、ありゃ俺達が昔作った船だ。人1人潜り込める隙間ぐらい把握してらぁな
俺は3番履帯の左上の装甲板を慣れた手つきで外しにかかる。ふん、あの頃のままか、ならチョロいもんだ。
パコン、と軽い音と共に人ひとり分の隙間を開けると装甲板を取り付けるフレームが見える。さらにそのフレームの向こう側には内装のパイプや配線が、だがこのポイントはさらにその向こう、船の内側に入り込めるのさ。
「お久しぶりですね。ドルブ元機関長。」
「あぁ、久しぶりだなミッシェル元参謀」
「嫌だなぁ今は学園長で通ってます」




