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やっすいバーガーの味

ゴバンの基地の事件から数日後、俺達は学校の屋上でゲッソリとしていた。

 時刻は昼飯時、本来ならミーシャと、何故か転入して来たハイカと席を並べて昼食を取る時間なのだが、俺とリータは周囲の反応に耐えかねて逃げ出してきたという訳だ。


「一応、ドルブのおやっさんのタナンや街にあるスクラップと、ゴバンの基地で集めた巨獣素材でレッドキャップも元の姿になりましたな」


「だがようリータ、あくまで形になってるだけの寄せ集めだ。アニメみたいに気合で動くなら良いけど、どうしても強度に不安が残る。メカパーツは民生品グレードで軍用グレードには遠く及ばないしな」


「だからこそ今度の鉱山見学の時に渡りを付けるんでござろう?ドルブのおやっさんの友達がちょうど魔法金属の鍛冶師やってて軍用グレードのパーツを作れるって聞きましたしな。」


「たしか、ケトべドルだっけ。すぐに見つかると良いなそのおっちゃん」


 もしゃりとハンバーガーをかじる。青い筋が交じる謎肉のパテと白いトマトを挟んだハンバーガーを飲み込むと、肉の旨味と鼻腔に抜ける生臭さ、そしてトマトの何とも言えない甘酸っぱさが不協和音を奏でながら俺の胃袋を蹂躙した。


「うげぇ……やっすいバーガー買ってみたけど、コレたぶん虫か何かの肉を混ぜてやがる……野菜も熟して無い奴だなコレ」


「仕方ないでござるよ。決めたんだろ?あの女をちゃんと助けてやろうと。その為に資金はギブラニアに回してて火の車と。男の痩せ我慢は辛いねぇ」


 Dr.花椒の缶を傾けながら、クマをたっぷりと作ったやつれたリータが少し痩せた顔で笑う。


 そう。俺達はドルブのおやっさんの店を拠点に本格的に動き始めた。最初こそ流されるままだったが、ゴバンの基地での出来事であの少女達の置かれてる状況がのっぴきならない事態だとハッキリと理解したからだ。


 それに女に泣かれるのは嫌だからな。出来ればあのオンボロバイクに乗った時みたいに自然に笑えてれば十分なんだ。それだけでな。


 そんな事も分からねぇ冬将軍とかいう組織は春の陽気で吹き飛ばさなければな!

 ………あとついでに親父のカタキをね?


「すみません、貴方方に頼ってしまい……匿ってくれている爺やとこの学校の校長先生も表立っては動けないんです。相手は貴族と大企業、圧力を掛けるのは手慣れたモノでしょうから……」


「あぁ、大規模に動けば警察、ヘタしたら軍が動き兼ねない。その時にはコッチが悪者になる様な雰囲気がいつの間にか出来てるだろうさ」


「はい。だから……一般社員や一般生徒を巻き込む様な決断はいけないから……だからレジスタンスの様な地下活動にする他無かったんです。車やギブラニア、武器は買ってあげられませんけど、その代わり美味しいお弁当を作って来たのでお二人とも食べませんか?」


 いつの間にか目の前にミーシャが居てバスケットから香ばしい肉と瑞々しい野菜が挟まれたサンドイッチが覗く。


 …………ごくり………うまそう


「リータ、アンタにはミネラルウォーターよ。糖分とカフェインが大切なのは分かるけど身体を壊してはいけないわ」


 ハイカさんがリータのDr.花椒を取り上げて水のペットボトルを手渡す。


「ほら、カップを持ちなさい。直接飲むなんて行儀が悪いですよ。」


 疲労を浮かべているリータはぼやん……としたままカップを持ち上げるとそこにハイカお嬢さんが水を注いで……ん?いま指の間に何か挟んでたのをカップの中に落とさなかった?


「あ、ありがとうハイカさん……でも拙者みたいなオタクと居ると……バカにされる……でござ………」


 かくん………と力が抜けたリータを受け止めて膝枕の体勢になるハイカ様。


「あの……ハイカ様?今カップに何を入れたんで?」


「うふふ」


 俺の質問には答えずにニッコリとしてリータの金髪天然パーマヘッドを撫で撫でし始める。


「ミーシャさん、ハイカ様ってやっぱりあのビッグフットってオッサンに啖呵切ったリータにキュンキュン来た系?」


「もう、そういう事を言うのは悪い口なんですよ?野暮と言うのです」


 あぁ、それにしてもここ最近のビッグフットの修理が祟ったのか眠い……


「すまない。俺も少し横になる。」


 俺は屋上に吹く爽やかな風を感じながら意識を手放した。



◇◇◇



「ほら。だから言ったでしょう?水と一緒に飲ませた方が吸収が早いからすぐに効くって」


 ハイカは勝ち誇る様にリータの金髪を指に巻き付ける。その顔は「この男は私のモノよ。私好みに育て上げるの」と書いてある様で友達ながら恐ろしいと思うの。独占欲強かったのね。


「うふふ、メグルは良い友達だけどギブラニアの整備にかこつけて私のリータと2人でくっついてたりするのよ?少しぐらい私もリータを独り占めしたいわ。だってあんなに情熱的にアイツから私を護ってくれたもの。今私個人に彼に渡せる価値ある対価は私自身。そうよね?」


 もう!若干ハイライトが行方不明だけど、そんな捨てられた子猫みたいな顔で言われたら反論しにくいじゃない!

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