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もとよりそのつもりィ!

ビッグフットは俺を蹴り飛ばした感触を確かめてガハガハと笑う。


「咄嗟に庇ったか!良いカンをしておる!飛び掛かってくる勢いも良い!なおさら欲しくなったぞ!」


「へっ、こんなクソガキを欲しがるなんざ、よっぽど冬将軍ってのは人が居ないんだなぁ。あぁ、チンケなハズか!!親父に半壊させられたんだろう?」


 ビッグフットに冷蔵庫の取っ手を投げつけるが、軽く蹴り返される。


「そのぐらい跳ねっ返りの方が屈服させる楽しみがいがあるってモンよ!!さぁ!いでよイエティ!!」


 ダァン!とブーツを地面に叩きつけると、ビッグフットの背後に白い巨人が現れる。ブーツ部分が異様にゴテゴテして黒光りしているが、その他の部分は白く細身の身体をしていて、ビッグフットのイメージをそのままギブラニア化している様な機体が現れた。


 ビッグフットは一回の跳躍でイエティのコクピットに乗り込み、巨大なブーツと機体とを接続する。


「さぁ、降参するなよなぁ?タンカ切ったからにはさぁ!」


 イエティは崩壊したゴバンの建物を蹴り飛ばしてこちらに迫る。


「ビッ………ビッグフット!卑怯でゴザルよ生身相手にギブラニアは!!察するに元軍人とかでござろう!!情け無いとは思わないのですかな?!」


 「もう一人居た太ったガキか………お前はつまらんな。山の中で自分より大きいクマに遭遇した時にお前はクマを「卑怯者」と罵るのか?あるいはひと噛みで100人は殺せる毒を持つヘビを「卑劣だ」と非難するのか?バカバカしい。戦いにルールも公平も無いんだよ。準備出来てない奴が悪い。」


 心底呆れたといった声色で落胆するビッグフット。ついでの様に蹴り飛ばされたリータは3人のお嬢さんの近くまでぶっ飛んだのだった。



 ◇ ◇ ◇


【リーターン・カムバック視点】


 クソッ、悔しい!悔しいが………あのビッグフットとかいう奴の言う通りだ。


 今はオーカンとダキレルが身体強化の魔法で自身を強化してなんとかこちらに来ない様にしているが、なかなか分が悪そうだ。タコルガジェットがぶっ壊れてなきゃあ俺も何か出来るが、ガジェットの無い素のオイラじゃあとんだ足手まといだ……


 チキショウ!こんな美人なハイカ様を守護れないで何を舞い上がって居たんだよ!!


「悔しそうにしてるトコ悪いんㇲけど、ちょっと良いッスか?」


 俺に話しかけてきたのはツナギを着てボサボサ髪にそばかすメガネの冷蔵庫の奥に居た娘だった。手には俺がカマキリ戦で無茶させてしまったタコルガジェットを持っている。


「これ……機械仕掛けの副腕を操作するガジェット?しかもちゃんと個別に動かしていた痕跡がある。六本腕でもないのに、自前の腕に加えて2本の腕を操作出来るモンなの?」


「え?まぁ、はい。一人で複数の事をいっぺんにやろうとしたら手が足りませんからな。ドルブ修理工房でバイトしてた時に一人でいろいろやる為に頑張ってたらいつの間にか出来るようになってましたぞ」


 拙者のセリフにメガネの娘はギョッとして手からタコルガジェットを落とす。わなわなと震える手を拙者の肩に置くと吾輩をガクガク揺らしながら早口で捲し立てて来た。


「ドルブメカニックの亡霊?!アンタがそうなの?!噂は聞いた事あるの!トラックを乗り入れたら従業員が一人しか居ないのに、機械が勝手に動いてみるみるウチに修理されるって言うあの?!」


 吾輩の事を知ってたみたいですな。しかし拙者特別な事は何もしていないのですぞ。オーカンどのが「強化」に強い様に、拙者は「操作」に強いだけの事でござる。


「ギブラニア、あるよ。アンタなら動かせるハズ。ついてきて。」


 戦闘中のビッグフットとオーカン&ダキレルが居る所を避けて瓦礫の中を縫うように抜けていくメガネっ娘。しばらくすると地面に地下への扉が隠されてる所に出る。


「この下にあるの。ほとんど私の趣味で作ってるし、虫をパーツにしてるからクセがあって誰にもマトモに動かせなかったの。でもこんなマルチタスクが出来るアンタなら本来の性能を引き出せるハズ。さぁ、乗って!」


 地下の暗い格納庫で手探りでコクピットに乗り込む。すると隣にメガネっ娘がくっつく様にして乗り込んできた。


「アタシはメグル。お願いします。あのビッグフットをブッ倒して下さい。アイツはアタシの母さんをあのブーツで踏みつけにして殺したんです。だから、だからビッグフットをぶち殺して下さい!!!」


 「OK、メグルちゃん。そういう事ならおふざけは無しだ。俺に任せろ」


 ハンドルを握り、そこから機体全体に魔力を浸透させる。そして全身の関節、筋肉、ギミックを掌握し、“4本足”で地面を踏みしめ、外への扉を“4本腕”でこじ開けた。



 ◇ ◇ ◇


 

 クソッ、小型軽量機ならなんとかイケるんだが、戦闘用の、しかもパイロットに合わせてチューンされてる専用機相手には生身じゃ逆立ちしたって勝てっこねぇな!


 なんとか、なんとか上手く隙さえ作れれば……


「オーカン!避けろ!ぐあっ!!」


 ダキレルがイエティが蹴飛ばした瓦礫に吹き飛ばされる。俺は眼前に落ちてくる足に向かって全力全開の身体強化で拳を叩きつけるが、じわじわと押し込まれて行く。


「ふぅ〜む、イエティのストンピングを堪えるだけでも貴様の能力が高い事が分かる。惜しい。実に惜しいな!」


 ふと、イエティの重さが軽くなったと思ったらイエティが吹き飛ばされる。


「お待たせ!オーカン!ちょっと“俺”は今から本気モードに入るからお嬢様達とダキレル連れて離れててくれ!」


「リータ!やるからにはぶっ潰せよ!」


「もとよりそのつもりィィィィ!!」

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