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第91話 『焼き芋屋台』


「……よし、できたぞ!」

一二三先輩が工具を置いて、組み立て終わった屋台を見上げた。

ピカピカに磨かれた屋台に、藤咲さんの手によるカラフルな装飾。

そして屋台の真ん中に鎮座するのは、巨大な笑顔のサツマイモキャラ――イモ吉くん。

「うむ、見違えるほど立派になったのう」

ローザは腕を組み、満足げに頷いた。

だが、眉をひそめながらイモ吉くんを凝視する。

「……で、なんでこのイモはこんな狂気じみた笑顔をしとるんじゃ?」

「いやいや、これは“客を呼び込む笑顔”ですから!」

藤咲さんは胸を張る。

カインはその横で、ものすごい苦い顔をしていた。

「いや、どう見てもホラーだろ……深夜に見たら泣く子ども出るぞ」



一方その頃、洗ったサツマイモの扱いについて店長とカインの口論が続いていた。

「なあ、本当に洗っちゃって良かったのか? ネットには直射日光はダメって……」

「でも天日干しって書いてある記事もあったしなあ……」

頭を抱える店長。

その横で新聞紙に一個ずつサツマイモをくるんでいるカインは、

完全に不満顔だ。

「どうせ食べるんだし、もう細かいことはいいだろ!そもそも、どの記事にも大体書いてあるけど、1日干すだけで済む記事はなかったから、何をしても無駄かもしれないし」

店長が投げやりに言うと、カインは新聞紙で包んだイモを机に叩きつけた。

「だったら最初から俺に聞くなよ!」


そうして屋台が完成し、イモの保存も一応終わった。

全員が「やっと終わった……」と胸を撫で下ろしたその瞬間――

「よし、じゃあ明日から屋台営業な!」

店長の一言で、全員が固まった。

「……営業って何を?」カイン。

「焼き芋に決まってるじゃん。せっかく屋台あるんだし!」店長。

「いや、誰が焼くんですか……」一二三先輩。

「もちろんカイン君主導で!」

店長は笑顔で言い切った。


翌日。

屋台の前にはなぜか行列ができていた。

「ちょ、ちょっと待て! なんでこんなに客が集まってんだ!」

カインが目をむく。

店長が得意げに指差したのは――

SNSでバズったイモ吉くんの写真だった。

「見ろ、このイモ吉くんの狂気の笑顔が、ネットで“呪いの芋”って呼ばれて拡散されてるんだ!」

「いや喜ぶなよ!!!」

カインのツッコミが響いた。


そんなツッコミをよそに、屋台はフル稼働。

ローザがこっそり魔法で火力を調整し、一二三先輩が芋を紙で包んで渡す。藤咲さんが追加のポスターを描いている。

カインは芋をひっくり返しながら叫んだ。

「熱い! トングは!?火バサミは? 何かないのか!?手袋だけでこの中に手を突っ込みたくない!」

定期的に軍手だけで焼き芋をひっくり返している。

客はなぜか「呪いのイモください!」と注文していく。

店長だけが楽しそうに叫んだ。

「今回も、満員御礼だな!」


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