第88話 『イナゴっぽいのを退治した後で』
イナゴっぽい魔物たちは、ローザの操る鳥たちが残らず片付けてくれた。
最後の一匹がバリバリと鳥の胃袋に消えていくと、ローザが手を振り、鳥たちは魔力の糸を切られたように四方へ散っていった。
しばらくして、農民たちが慌ただしく駆け寄ってくる。
「いや〜、いつもすまんのう。害虫退治ばっかり頼んで……。最近どうも、害虫やらネズミやら、いろいろ押し寄せとるんじゃ。何かが起きようとしとるんかなぁ?」
カインは小声でローザに耳打ちした。
「おい、言われてるぞ。害虫とかネズミとか、押し寄せてきてるってさ」
「そ……そうなんじゃな〜。大変じゃのう〜」
ローザは妙にわざとらしくしらばっくれている。
「確かに何かが起きようとしているのかもしれないな」
カインは腕を組み、真面目な顔を作った。
「この前までのは原因を排除したから問題はないと思うが、今回はちょっと調べんとな」
「ほほぅ、前回までは原因を突き止めておったか! さすが店長さんとこの御人じゃ! 原因は何だったんじゃ?」
農民が目を輝かせてカインを見つめる。
「魔物の親玉がな、癇癪を起こしてただけだ。もう倒したから安心してくれ。ただ、今回はまだ原因が分からん」
「癇癪ってなんじゃ!」
ローザが小声でツッコむ。
「まあまあ落ち着いてください。そのおかげで師匠に出会えたんですから!」
一二三先輩がニッコリ笑う。
「……それはフォローなのか、バカにしとるのか?」
ローザの目が細くなった。
「そうそう、礼といっちゃなんだが、これ持って帰ってくれ。店長さんにもよろしくのう」
農民がサツマイモの山を差し出した。
「おお、これは……」
一二三先輩が手に取った瞬間、顔をしかめる。
「まさか……以前の“焼き芋フェア”のイモって、もしかしてここのじゃ……?」
「おい、何か不穏なこと言うなよ」
カインが青ざめた顔で言った。
「まさかまた変なフェアとか祭りとかやるつもりじゃないだろうな、店長……勘弁してくれ」
「なんじゃ? ワシは焼き芋は好きじゃぞ?」
ローザが悪びれもせず言う。
「お前な……俺たちはサービスを“受ける側”じゃなくて“提供する側”なんだよ。前にも言っただろ!」
カインのツッコミが農村にこだました。




