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第86話 『役立たず達』

異世界――今回は見慣れた農村。

昼下がりののどかな空気をぶち壊すように、遠くの畑から「ブーン」という嫌な羽音が響いてくる。

そこにいたのは、老婆の姿に戻ったローザと、なぜか巻き込まれている一二三先輩。

「遅いでわないか! 第一陣は退治したが、一二三が持っとる唐揚げの串とやら、もう力が尽きかけとるわ!」

ローザが鍬を杖代わりにして仁王立ちで叫ぶ。

「師匠! 大丈夫です! 自分には新たに得た魔法があります!」

一二三先輩が胸を張り、手をかざす。

ポチャン

手のひらから飛び出したのは……水球。

落ちた瞬間、野菜畑のカカシの横でパシャッと弾けた。

「バカモン! そんなんで虫が退治できるか! カカシがちょっと涼むだけじゃろうが!」

ローザが杖で地面を叩きながら一喝する。

カインがツッコミを入れる。

「一二三先輩は……何でここに?」

一二三先輩は誇らしげに胸を張る。

「もちろん修行だ! 師匠に魔法を伝授してもらってる! ついでに害虫退治だ!」

ローザが肩をすくめる。

「成長はしたんじゃが……見ての通りじゃ。炎でも雷でもなく、ちょっと涼しい水魔法しか覚えおらん。」

「どこの縁日魔法だよ!」

カインは深くため息をつきながら周囲を見渡す。

畑の向こうで、イナゴっぽい何かが畑のキャベツを食い荒らしているのが見える。

「唐揚げ串はもうダメか。残る武器は……この禍々しい菜箸だけ?」

ローザが頷く。

「虫を操れるならいいんじゃが、あやつら今は興奮状態じゃ。ワシでも無理じゃわい。」

カインは頭を抱える。

「……役立たずが2名か。」

その瞬間、農村のスズメたちがカインの頭に急降下し、容赦なくつつき始めた。

「痛い痛い! わかった! 1名だけな! 1名だけだ!」

その横で一二三先輩がドヤ顔でそよ風を吹かせる。

カインはイラッとしつつも、聖なる菜箸を一二三先輩に手渡した。

「串は我が持つ。この聖なる菜箸はお前が使え。虫だし……刺せば効くだろう。それか挟んで捕まえる?」

「最後なんで疑問系なんだ。これでどうやって退治するんだ?」

「知らん! だが適当に箸で刺せ!」

カインは取り敢えずまとめた

「我の魔法、ローザの鳥達、聖なる菜箸! これで第二陣を迎え撃つ!」



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