第84話 『素麺イベント終了』
素麺イベントは、何事もなく無事終了。
臨時休業となったコンビニは、明日の朝7時まで閉店予定。
スタッフたちはのんびりと後片付けに取りかかっていた。
その時――
「ねえ、どこかで会ったことあります?」
ヒナタさんが、さりげなくローザに声をかける。
「ヒィィィ〜! 今日が初めてで御座いますっ!」
返事もそこそこに、ローザは一目散に逃げ去ってしまった。
唖然とするヒナタさんの横に、藤咲さんがやってくる。
「ローザさん、人見知りがひどいみたいです。店長さんがさっきそう言ってましたよ。」
「そうなんだ。怯えてるみたいだし、何か私、悪いことしたのかと思った。」
ローザが逃げ込んだ先には、ちょうどカインがいた。
一部始終を見ていた彼は、半笑いで肩をすくめる。
「やっと憧れのヒナタさんに会えたってのに……何やってんだお前?」
「無茶言うでない! 会えたのは嬉しいんじゃ……じゃが、さっきのは余りにも恐ろしかった……」
ローザは壁にもたれて肩で息をしている。
カインは呆れたようにため息をつきながら言った。
「これに懲りたら、浅知恵で悪さするのはやめとけ。どうせ痛い目見るんだからな。」
「解っとるわい……次からは平和的に記憶を戻して貰う……もう吹き飛ばされるのはコリゴリじゃ……」
そうこうしていると、店長がのほほんとした顔で現れる。
「ローザくん、またあんな勝手なことするなら、もうほっとくからね? でもまあ……ちゃんと言ってからだったら、いつでもあっちに連れて行ってくれてもいいよ。」
「……大人しくしときます。もう本当にコリゴリじゃ……」
ローザは魂が抜けたような声で答え、店長はニコニコ笑っていた。




