第77話 『ローザ子供達と遊ぶ』
公園を出たあと、カインはローザをショッピングモールに連れて行き、この世界の「買い物」という文化を徹底的に叩き込んだ。
「見ろ、このセルフレジ! そしてフードコート! 現代文明の粋を学ぶのだ!」
「う、うぅむ……勉強は嫌じゃ……」
ローザは途中から疲弊しきった顔になり、ショッピングモールを出る頃には魂が抜けたみたいにふらふらしていた。
翌日、日曜日。
一二三先輩はバイトのため不在で、カインと藤咲フィアナ、それにローザの三人で再び外に出ることになった。
「うぅ……もう勉強は嫌じゃ……買い物はもうこりごりじゃ……」
「単に買い物しただけだろうが。まだまだ常識を叩き込んでやるぞ!」カインが容赦なく言い放つ。
だがローザはちょっと怯えたように首を振った。
「もう帰る……ワシはもう帰るんじゃ……」
「まあまあ、もう少しゆっくりしましょう」藤咲フィアナが優しく言った。「世界が違うんですし、戸惑うことがあるのも当然ですわ。公園でお散歩でもしませんか? 無理なく慣れる方法が見つかるかもしれません」
「流石聖女じゃ! 敵に回せば恐ろしいが、味方になったときこれほど頼もしい者もおらんぞ!」ローザは妙に感心している。
「……しょうがないな」カインは半ば諦めて、また公園へ向かうことにした。
公園は相変わらず自然と子供たちで賑わっている。
「公園は自然と子供しかいないんだがな……」カインが呟くと、藤咲フィアナが突然ひらめいたように手を打った。
「良いこと思いつきましたわ! ローザさん、子供たちと遊びましょう!」
「なんでそうなる!」カインが即座に突っ込む。
ローザは「ムムム?」と唸っていたが、藤咲フィアナはすでに近くの保護者に許可を取り、小学生くらいの子供たちに声をかけていた。
「このお姉ちゃんと一緒に遊んでくれませんか? 海外から来たので、日本の遊びを教えてあげてほしいのです」
子供たちは興味津々でローザの手を引っ張っていく。
「よしよし、これでいいはず。遊んで学ぶのは楽しいはずですわ」
「……まあ、元魔王だし今は変なことはしないだろうが……一応監視はしとくか。万が一のことがあったら取り返しがつかないしな」カインはそう言って渋々見守ることにした。
それから二時間ほど。
子供たちはすっかりローザと仲良くなり、「また遊ぼう!」と約束して別れていった。
「どうでした? 何か得られるものがありました?」藤咲フィアナが尋ねると、ローザはふんぞり返って答えた。
「うむ! こちらの世界には変身する正義の味方とやらが存在することがわかったぞ!」
誇らしげなローザに、カインは額を押さえながら呟いた。
「……ま、まあ……良かったことにしておくか」




