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第74話 『ファミレスに向けて』

――商店街を抜けたところで、ネックレスを着けて若返ったローザが、みんなと並んで歩いていた。

若返っても声や話し方はあのままなので、やたらギャップがある。

「して、ヒフミや。ファミレスとは一体なんじゃ?風呂屋か?それとも……空港か?」

ローザが真剣に問いかける。

一二三先輩が苦笑して答えた。

「いえ、師匠。ファミレスとは食事をする場所です。洋食や和食、色々揃っていて誰でも気軽に入れるお店ですよ」

「ほうほう!つまり異国の食事かえ!わしは百を超えた辺りから、ロクなもんを口にしておらんかったからのう。若返った今なら何でも食えるぞ!てっきり修行や勉強から始まるかと思っておったが……まさか持て成しからとは!さすがじゃな!」

ローザは息巻き、妙に楽しそうだ。

そこでカインが、わざとらしく顎をさすりながら言った。

「で、ファミレス代は……一二三先輩持ちか?」

「俺とカインで割り勘だ。師匠はこちらのお金は持っていないし、高校生の藤咲さんに出させるわけにはいかないだろ」

一二三先輩が即座に答える。

するとフィアナが、少し手を振って慌てながらも笑顔で言った。

「大丈夫です!ちょっとお小遣いもらってきたので。皆さんも学生なんだし、むしろ私が払いますよ」

「いや、それはさすがに……」

「それもどうかと思うぞ」

「おぬしら、若いのに遠慮ばかりじゃな」

結局、しばらく押し問答の末――カイン、一二三先輩、藤咲さんの三人で割り勘することになった。

やがてファミレスの建物が見えてくる。

大きな窓ガラスから店内の明かりが漏れており、ローザは思わず声をあげた。

「ぬぬっ!? なんじゃあの大きなガラスは!高級店か!?……持ち合わせがないばかりに、皆に出してもらうとは情けないことじゃ……」

驚きと嘆きが入り混じった表情で見上げるローザ。

「いえ、手頃な価格ですよ師匠」

一二三先輩が慌ててフォローを入れる。

「なんと!? このガラス張りの館が……お手頃……? こちらの世界の価値観は恐ろしいのう……」

ローザは肩をすくめ、だがどこか楽しげに笑った。

そのまま四人はガラス戸を押し開け、ファミレスのヒンヤリとした空気の中へと入っていった。




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