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第71話 『店長の秘策』

――コンビニ休憩室

カインがソファーにどっかりと腰を下ろし、胸を張って偉そうに言い放った。

「店長よ、秘策と言うものがあると言うなら、聞かせて貰おうではないか!」

 その場の空気がピンと張りつめる。だが当の店長は、肩をすくめてふにゃっと笑った。

「そんな言い方するなら、やっぱり言わないでおこうかな〜」

「ちょ、ちょっと待ってください! カイン様、もう少し穏便にお願いいたしますわ!」

 藤咲フィアナが立ち上がり、まばゆい聖女オーラをぶわっと纏う。休憩室の照明がかき消されそうなほど光り輝き、カインに向かって放たれる。

「ぐぬぬっ……っ!」

 カインは眉間にしわを寄せ、しぶしぶと口をつぐんだ。

 一方、何もしていない老婆はその光景にビビり、ソファーの端に縮こまる。

「師匠ぉぉおおおっ!」

 一二三先輩は焦って叫び、どう収拾をつけるか分からず右往左往。

 やがてカインは、観念したように小さくため息を吐いた。

「……仕方ない、秘策とやらを聞かせて貰おう。期待しているからな!」

 結局、相変わらず偉そうな態度で店長に向き直る。

 店長は「まあいいか」と軽く手を叩き、皆を見回した。

「現状を振り返ってみてほしい。まずこちらの世界で記憶が戻ると、比較的正常な状態で受け入れられる。その後、異世界に行っても特に暴走しなかった。これはカイン君を見てもらえれば分かるはずだ」

「うむ、確かに」

 カインは満足げに頷く。

「一応、パートのオバチャンでも同じように自然に受け入れられた。だから、これはほぼ確定だ」

「……」

老婆は何も言わずにコクコク頷いた。

「だが逆に、記憶がほとんど戻っていない状態で異世界に行くと――藤咲さんのようになる」

 店長が視線を向けると、フィアナは顔を赤くして下を向く。

 カインと一二三先輩は「確かに」と真剣な顔で頷いた。

「あれはヤバかった」

 カインがつい追い打ちをかけるように言った瞬間――

「カイン様ぁぁ〜」

 フィアナが今度は禍々しいほどの聖オーラを放ち、部屋全体を震わせた。

「ひぃぃぃ!」

 カインが飛び退き、老婆も同時に「ヒィィィ!」と叫んで怯える。

 場が混沌とする中、店長が咳払いをして話を戻す。

「……でだ。前回、偶然とはいえ“急に記憶を戻すと暴走する”と分かったわけだが――」

 そこで、フィアナが顔を上げ、まっすぐ店長を見つめた。

「本当に偶然だったんですか? 偶然じゃなければ……!」

 彼女の真剣な視線に、カイン、老婆、そして一二三先輩までビビって店長を凝視する。

 店長は一瞬だけ汗をかき、わざとらしく咳払いをしてごまかしながら、話を続けようとした――。


続きは今日中には書くつもりです。

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