表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
68/124

第64話 『魔法の師匠』

時は少しだけ遡る。

 一二三先輩は、キノコの毒が抜けた後、腹いっぱいで地べたに転がりながら、ふと過去に誰かから聞いた話を思い出していた。

 ――「異世界の食べ物を食べれば、魔力が回復する」

 ただし但し書きがあった。

 ――「器がないと、魔力が含まれている物を食べても意味がない」

 普通なら「そうか、残念」で終わる話だが、満腹で気が大きくなっている今の一二三先輩は違った。

「……いや待てよ? 毒キノコって、限界突破するほど魔力が詰まってたんだよな。

 ってことは……今の俺、もしかして……器が満たされてる!? 

 魔法使えるんじゃね!? やばっ、俺、異世界主人公フラグじゃん!」

 腹をさすりながら、ひとりでブツブツ。

 近くでモンスターが騒ごうが、村人が悲鳴を上げようが、耳に入らない。

 完全に自分の世界に没頭していた。

 「ファイアボール!」

 「燃え盛る炎よ!」

 「えっと……!」

 意味不明な呪文を叫びながら手を振り回していると、いつの間にか周囲から人の気配が消え、残っていたのは一人の老婆だけだった。

「……お主、何をしとるんじゃ?」

 しゃがれた声に振り返ると、そこにはどう見ても怪しさ満点の老婆。

 黒いフードをかぶり、杖をつき、目はぎょろぎょろ。

 普通の人なら「やべぇ奴だ!」と距離を取るところだが――。

 一二三先輩の脳内では違った。

(……魔法が使えそうな人、キタコレ!!)

「師匠!! 今まさに魔法を習得しようと試行錯誤してたんです!

 どうかご教授ください!!」

 涙目で土下座。

 老婆は「師匠」と呼ばれた瞬間、目尻をピクリと動かし――満更でもなさそうに鼻を鳴らした。

「……ほほう。ワシを師匠と呼ぶか。気に入ったぞ。どれ、魔法を教えてやらんこともない」

「ありがとうございます師匠ぉぉぉ!」

 歓喜のあまり鼻水まで垂らす一二三先輩。

 老婆は、肩を貸すようにして彼を立たせた。

 そのまま二人は、誰も知らない老婆の隠れ家へと向かうのだった。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ