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第50話 『ぼやく』

カインが腕を組み、眉をひそめた。

「ちょっと待て。これじゃあ益々店長にこき使われるって事じゃないか?」

 藤咲さんは落ち着いた表情で首を振る。

「困っている人達がいるのに、知らないふりは出来ませんものね」

 一二三先輩が深くため息をつき、机に突っ伏した。

「……今身近で困ってるのは俺だって分かってるか? 俺だけ魔法使えないんだが。誰か助けてくれよ」

 カインはそっけなく手をひらひらさせる。

「そんなもん知らん」

 藤咲さんは小さく笑みを浮かべたが、すぐ真顔に戻る。

「……ともかく、今回は草餅……だったかしら、それとも草団子? その原料が足りないとかで」

 カインが天井を仰ぎ、肩を落とす。

「また野良仕事か……。貴族である我が、こんなことを……」

 ボヤきながらも、腰の剣をちらりと見やるカインの目には、諦めと覚悟が半分ずつ混じっていた。


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