第48話 『告白の理由』
「では――重大発表があります!」
「はあ……?」と、カイン。
「もう少ししたら、『草団子祭り』が始まります!」
「え? 草団子?」
一同の温度が一瞬で落ちた。藤咲さんの目も一二三の眼鏡も、意味がわからないという反射をしていた。
「そう! そして、そのためには! あの扉を通って素材を集めないといけないのです!」
「……店長、それのどこが“重大発表”なんです?」
カインは思わず真顔で聞いてしまった。
「あと、そもそもなんで“俺たち”に頼むんです? 普通に業者とか、他の人とかいるでしょ?」
そして一歩前に出て、問い詰めるように言う。
「それに……昨日、どうして藤咲さんの前で“転生者”ってことを口にしたんですか? それって、俺たちの……秘密だったはずじゃ?」
店長は、少し間をおいてから、腰を摩りながら座る。
「うん。それも含めて……そろそろ話す時期かなって、思ってた」
そして、低く、ゆっくりと語り始めた。
「実はね……ここのコンビニで働いてる人間、ほとんど――というか、“全員”、転生者なんだよ」
場の空気が、一瞬で凍りつく。藤咲さんは目を見開き、一二三は眼鏡を外して眉をしかめた。
「もちろん、一二三君みたいに、自覚がない人も多いけどね。でも、確かに――皆、異世界から来た“何か”を持っている」
「……マジで?」
「……は?」
「嘘だろ」
三人の反応は三様だったが、共通していたのは“理解が追いついていない”ということ。
しかし、店長の話は止まらない。
「しかもね。お客さんにも転生者、けっこうな割合で混じってる。たまに“あ、君もか”って思うことあるよ」
「……ど、どういうことです?」
「うん。カイン君みたいに、自分が転生者だって“わかってる”人は、魔力をちゃんと調整して使える。無茶をしない。けどね――」
店長の顔が、少し真剣なものになる。
「問題は、自分が“転生者”って気づかずに、なんとなく“ちょっと魔法が使える”って人たちなんだよ」
「まさか……」
「そう。そういう人たちって、無自覚に魔力を使っちゃって、気がつくとフラフラになる。調子を崩す。その回復には、異世界の食材が必要なんだ」
店長はテーブルをトントンと軽く叩く。
「だからね、素材を集めに行ってほしい。回復手段を“この世界”で提供できるようにするために」
そして、ドヤ顔で力説する。
「むしろ、みんなに感謝されるべきなんだよ! 魔力が補充できれば、体調も良くなるし、仕事もはかどるし、平和にもなる! ね!?」
カインは苦笑を浮かべながら聞いていたが――その時、店長が笑顔のまま、とんでもないことを口にした。
「カイン君! “良き貴族”として、平民の為に働くのは当然の務めだよね?」
「っ……!」
その言葉に、カインの背筋が凍りつく。ちら、と藤咲さんを見る。視線がこちらをじっと見つめている。
あまりにも居たたまれなくなって、視線をそらしながら答えた。
「う、うむ……そうだな……」
一二三先輩は「俺、貴族じゃないけど」と小声で呟き、藤咲さんは「平民って何よ……」と首を傾げていた。
二人とも、まだ混乱の中にあるようだったが――物語は確かに、次の段階へと動き出そうとしていた。




