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第41話 『一二三先輩、再び異世界へ』

次の出勤日。レジカウンター付近で、一二三先輩が店長に詰め寄っていた。

「店長! 昨日の野菜……異世界で育てた野菜を食べたら魔力が増えるって話でしたよね!? じゃあ、なんで俺は魔法使えないんですか!?」

 一二三先輩はやや強めの声で問い詰めている。

「無理だよ」

 店長はあっさりと言い放った。

「は? いや、だって魔力が回復するとか……」

「うん、魔力を“回復”するだけだから。元々魔力がない人にはどうしようもないんだよ。器が無い所に水を入れても溜まらないのと同じだね」

 一二三先輩は一瞬で狼狽した表情になり、肩を落とした。

「……そ、そんな……」

 その様子を見たカインが、悪役貴族風に肩を叩いて慰める。

「落ち込む事はない、無垢なる民よ。我が力を目の当たりにしただけでも十分に栄誉であろう」

「いや、カインくんさ……どうやったら魔法って使えるようになるんだよ。なあ、何かコツとかあるのか?」

「ふむ、我は物心ついた頃より当然のように使えていた。貴族の生まれだしな、あははは!」

「……(自慢かよ)」

 一二三先輩の目が死んでいる。

 すると、そのやり取りを横で聞いていた店長が、ひょっこり顔を出した。

「ねぇ一二三くん、魔法使いたいならさ。魔力を体に満たすとこから始めないと。……また異世界に行ってみるかい? この前みたいに特別にね?」

 店長の軽い笑顔が怖い。

「え、行けるんですか!ぜひ!」

 一二三先輩は即答だった。

「我は行かぬ!! 魚を焼くのも、農家の手伝いも、ネズミ退治も、もう二度と御免だ!」

 カインが全力で拒否する。

 だが――

「さすがカインくん、あの氷の魔法とかめっちゃカッコ良かったよな! 本当はもう一回くらい見せてほしいな~。頼りになるわ~!」

 一二三先輩の露骨なおだて。

「ふ、ふははは……無垢なる民よ、そこまで申すか! よかろう。再びその望みに応えてやるのも貴族の務めであろう!」

「単純だな……」

 と店長が小さく笑い、

「じゃあ決まりだね!」と満面の笑みを浮かべる。

 再び開かれる異世界の扉。

 またしても不穏な予感を残したまま、二人は吸い込まれていった。

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