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第40話 『農作業の報酬の行方』

 コンビニのバックヤード。

 農作業から帰還したばかりの一二三先輩とカインは、埃まみれで床にへたり込んでいた。

「いやー、異世界すげえ!カインくんの魔法、マジでやばかったな!地面がドーンって、野菜がザザーッて! 俺、一生忘れねえと思う!」

 一二三先輩はテンション高く、土だらけのスニーカーをパタパタさせながらカインを指差していた。

「……何故この我が、高貴なる血を引く我が、土を掘らねばならんのだ……っ! 農民の仕事など屈辱以外の何物でもない!!」

 対して、カインは顔を真っ赤にしながら拳を震わせていた。ヒゲメガネがズレていたが、もはや直す気力もないようだった。

「おかえり~」

 ふと、どこからともなく現れた店長が、パリッと音を立てながらキュウリをかじっていた。手には異世界産と思しきツヤのある緑野菜。

「……って、ちょっと待て。何故勝手に我の報酬を食べておるのだ!?」

 カインが店長の手元を指差して怒鳴った。

「ん? ああこれ? だって、こっちの世界って魔力回復しにくいじゃん? だから、異世界産の食べ物を摂ることで、多少は魔力を補充できるのよ。理にかなってるでしょ?」

 さらりと、もっともらしい説明を返す店長。

「だからといって勝手に食べていい理由にはならぬ! それは我が得た、正当なる対価だぞ!!」

「はいはい、落ち着いてカインくん」

 そのやり取りを横目に、一二三先輩は目を輝かせていた。

「ってことは……俺が食べたら……もしかして俺にも、魔力が!?」

 ぶつぶつ呟いたかと思えば、次の瞬間――

 ガブッ、パリッ。もぎたてのキュウリにかぶりついた。

「ちょっ……貴様、それ我の……! 我のキュウリ!!」

「……すげえ、トマトも美味い……これ、生でいけるな……」

 一二三先輩は完全にカインの声など耳に入っていない様子で、次々と農作物を胃に収めていく。

「やめろと言っておるのが聞こえぬのか!? 我の魔力がぁああぁぁぁ!!」

 店長は口元にキュウリをくわえたまま、にやりと笑った。

「うんうん、いい反応だね。じゃあ次は収穫じゃなくて加工工程でも体験してもらおうかな。野菜ジュースの瓶詰めとか。楽しみにしててね、カインくん」

「絶ッッッ対に行かぬ!!」

 カインの絶叫が、バックヤードに木霊した。


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