表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
39/124

第36話 『あの港はいったい?』

 しばらくすると──。

 「断罪……断罪……断罪……」

 呪詛のような声が、漁村の浜辺に響き渡る。

 「ひぃぃぃぃぃッ!!」

 カインが魚を焼いていた手を放り投げ、火も消さずに悲鳴を上げながら元来た扉へと猛ダッシュした。

 その背後を、藤咲フィアナが無言で、しかし鬼神のような形相で追いかけていく。

 怒りを静かに湛えた彼女の顔は、普段のどこか抜けた優雅さなど影も形もなかった。

 「ふぅ、満足満足」と言いながら、店長は缶ビールの空を下げつつ、一二三先輩の肩を軽く叩いた。

 「ね? 皮、美味しかったでしょ?」

 「それどころじゃないんですよぉぉぉぉ……!」

 一二三は頭を抱えながら、店長の後を追い扉に戻っていくしかなかった。

 ──しかし戻った先、そこは地獄だった。

 休憩室の冷たい床に、正座していたのはカインと店長だった。

 カインはヒゲメガネをかけたまま、うなだれて震えている。

 店長は、まだ酒の匂いをまとったまま無言で天井を見つめていた。

 その前に立つのは、腕組みしたパートのオバチャン三人衆。

 どうやら全員の姿が突然消えてしまったことで、シフトが回らなくなり、帰るに帰れずここで待機していたらしい。

 そこに帰ってきた一二三先輩も、有無を言わさず床に正座させられた。

 「焼き魚の匂い……またしてましたよね?」

 藤咲フィアナは、涼しい顔で自分の制服を整えながらそう呟く。

 その後、しばらくは地獄の説教タイムが続いた。

 店長もカインも、一言の反論もせずうなだれるばかり。

 ようやく説教が終わった後、一二三先輩は意を決して店長に尋ねた。

 「で、結局あれは何だったんですか? 漁村は? 扉は? 魚の皮の論争は……」

 しかし店長はにこやかに言うだけだった。

 「一二三くん、タイムカード押したでしょ? じゃ、お疲れ様〜。帰った帰った〜!」

 「納得できるかああああああああッ!!」

 叫びながらも、一二三先輩は更に深く混乱していった。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ