表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
37/124

第35話 『一二三先輩異世界へ』



 異世界の、潮風が強く吹きつける古めかしい漁村。小屋の隙間から覗く木製の干物棚、燻された磯の香り。そこに、なぜかコンビニの制服姿のままの三人が立っていた。


 カインは腕を組み、明後日の方向を見ながら鼻で笑う。


「下民どもの感性など、いちいち気にしていられるものか……皮を食おうが捨てようが、己の自由であろう。ましてや、我が手で魚を焼くなど――冗談にしても笑えぬわ」


 そう、あくまで悪徳貴族気取りを貫いている。


 そんなカインに向かって、店長が元気よく手を叩きながら言った。


「カイン君〜! この前焼き方教えたよね! ほらほら、さっそく実践しようよ〜! あの黄金色に輝くパリパリの皮をさ! 美味しく焼いてくれないと困るよ!」


 カインは遠くを見つめながら、小さくため息をついた。


「ふん……この我が、料理などという下賤な行為に手を染めるなど……だが、命じられれば従うのが、かの悪役貴族たるカイン・アルマリウスの流儀……やれやれだな」


 一方、一二三先輩は完全に混乱していた。


「ちょ、ちょっと待ってくださいよ!? さっきまで俺たち、店内で魚の皮を食べるか食べないかの話してただけですよ!? なんで今、木の舟とか干物棚とかあるの!? てかなんで漁村!? しかも魚を焼く!? え、今って夢!? 店長!? どこ行ったんですか店長ォォォォ!!」


 その叫びに、村のどこからか笑い声が響く。


「フフフ……」


 振り返ると、すでに村の住人に溶け込んだかのような装いの店長が、桶に水を汲みながら笑っていた。


「いいかい、カイン君。一二三君。魚はね――皮まで焼いてこそ、真の味が引き立つんだよ」


 三者三様の思いを胸に、日が傾く漁村に、謎の料理対決(?)の幕が上がろうとしていた。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ