第31話 『浄化の光』
なぜだか知らないが、焼き魚パーティーが始まっていた。
漁村の人々は魚には興味を示さなかった。いつも食べているからだろう。その代わり、店長が何処からか持ち込んだ謎の酒をガブガブ飲んでいる。
「ちょ、なんなんだこの状況……」
暑い。日差しは容赦なく照りつけ、砂は熱を孕み、服の下は汗でベタつく。だというのに、自分は浜辺で魚を焼いていた。
でも、なんだかんだ楽しかった。
浜辺での焼き魚、悪くない。
……ただし、例の“呪われたフランクフルト串”は、コンロの下で相変わらずメラメラと燃え続けていた。
その時だった。
「呪いの匂いがする! 呪いはどこだ〜っ!」
――最悪のタイミングで、例の声が聞こえてくる。
店長が、酒の瓶を片手に言った。
「ちょうど良い所に来たな〜とか言ってたよ、私。ヤバいよ、あれは」
そう言った瞬間、藤咲フィアナが浜辺に降臨。
瞳が光り、手から発せられる聖なる輝きが、まっすぐにコンロ――つまり、“呪われた串”に向けられる。
「浄・化!!」
バシュウッ! という音と共に、浄化の光が串を襲う。
さすがの店長も青ざめて叫ぶ。
「逃げるぞぉぉぉっ!!」
漁村の人たちに軽く手を振り、扉の向こうへダッシュ。
自分も慌てて後を追った。
そして、「断罪……断罪……」と囁きながら、藤咲さんもなぜか扉へ――。
世界が変わる。
コンビニの裏口に繋がる通路を通り抜けた瞬間、背後から声がした。
「……あれ? どうしてそんな格好してるんですか? あと、なんか焼き魚の匂いしますね?」
記憶はまた消えていた。
断罪も浄化もどこ吹く風、藤咲フィアナは首を傾げている。
そんな彼女を見て、店長は満足そうに言った。
「魚、美味かっただろ? ふふふ……」
「……いや、ほんともう……意味がわからない……」
カインはただ、呆然とその場に立ち尽くした。




