表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
15/102

第15話 『結果報告とその後』

 登校途中。制服姿のひなたは、学校の裏門近くで手を振るフィアナと合流した。

「おはよう、フィアナ。今日も元気そうだね」

「おはようございますわ、ひなたさん! あのっ……昨日の件、どうでしたの!? ちゃんと渡していただけましたか!?」

 朝日よりもまぶしい勢いで詰め寄ってくるフィアナに、ひなたは苦笑しながらうなずいた。

「うん。クッキーとハーブティー、ちゃんと渡してきたよ」

「や、やりましたわぁああ……っ! 第一関門突破ですのね!」

 フィアナは両手を胸元で組み、感動に震えていた。

「でね、カインさんなんだけど……めっちゃ挙動不審だった」

「えっ!? ど、どういう……」

「顔がこわばってて、手もガタガタ。なんか壁にもたれてボソボソ何か言ってたし」

「……ま、まさか……!? それって……わたくしのこと、意識して……?」

 フィアナの瞳がキラッと光る。

 ひなたは苦笑いしつつも、正直に言った。

「たぶん、動揺してたのは間違いないよ? もうね、あれ完全に“効いてた”感じ」

「うふふふふふ……ついに……心を揺らしましたのね……!」

 フィアナは両頬をおさえ、空を見上げて幸福の波にのまれていく。

「この気持ち、やっぱり……恋、ですわよね……!」

「(カインさんがあんなに混乱してたのに、なんでこんなにポジティブなの……)」


その夜:コンビニにて

 ひなたとカインは、夜のコンビニで在庫チェックをしていた。

「カインさん、昨日……いや、今日の朝もなんか様子変でしたよね」

「……そうか?」

「うん。ぼーっとしてたし、手震えてたし、あとクッキーじっと見つめてましたよ」

「……そ、そうだったか……いや、ただ……アレがすごいインパクトで……」

 カインは目をそらしながらごまかす。

 だが、心の中はざわついていた。

(何がどうしてこうなった……記憶が曖昧なまま、なぜか俺に妙な好意を向けてくる人が……)

 そこへ、店長が品出しカゴを持って背後から登場する。

「やっほ~、青春してる? 二人とも距離が近いねぇ」

「店長、また聞いてたんですか」

「うん、だって客いないし。ヒマだし。面白いし」

「趣味で恋愛観察しないでください」

「いやだってさ~、この状況、正直カインくんの戸惑いが最高のスパイスじゃん? もっと混ぜたい」

「やめて混ぜるな。心の消化に悪い」

 ひなたはくすっと笑った。

「でも店長、ちょっと楽しんでますよね」

「うん、もちろん」

 その返事の速さに、カインは深いため息をついた。


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ