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第118話 『用水路への疑問』
「ところで疑問なんだがな」
カインが腕を組みながら、村人にじろりと視線を向けた。
「本当に野生の生き物だけで、用水路がここまで荒れるもんなのか? まるで“用水路に恨みでもある魔物”が暴れた跡に見えるが?」
その言葉に、農家のオッサンは一瞬だけ目を泳がせた。
「へ、へぇ〜……不思議なこともあるもんだな〜」
まるで棒読み。
カインの目が鋭く細くなる。
「おい……今、確実に何かを隠したな?」
オッサンはあからさまに挙動不審になり、視線をあちこちに泳がせる。
「い、いやぁ? 別に隠してるわけじゃ……」
「誤魔化すでない!」
カインが一歩詰め寄ると、オッサンは思わず後ずさった。
見かねた一二三先輩が、慌てて間に入る。
「まあまあ、カイン君。そんな怒鳴っても何も聞けないよ」
そう言ってから、一二三先輩は穏やかな声でオッサンに向き直る。
「もし、何か事情があるなら教えてください。僕たち、手伝えることがあるかもしれません。隠さず話してくれた方が、きっと早く解決できますから」
その優しい言葉に、オッサンは肩を落とし、深いため息をついた。
「……はぁ、わかったよ。もう隠しても仕方ねぇか」
重たい空気の中、オッサンはゆっくりと語り始めた――。




