第101話 『トラップハウス』
異世界の怪しい洋館。
入口の扉は、一度こちらを歓迎するかのように開いたが――次の瞬間、まるで気が変わったかのように音を立てて閉じた。
「おい!化け物!我らを招き入れるんじゃないのか!? なぜ閉める!」
カインが苛立ちを隠さず、再び扉に手をかけた瞬間――
ビリッ!
「うおっ!? なんだこれは! 静電気か!? いや、こんな強烈なのは久々だぞ!」
思わず手を離し、カインが指先を振る。
「俺がやる!」一二三先輩が代わりに扉に触れた瞬間――
「いだっ!? これ、絶対に静電気じゃないだろ!?」
彼もまた手を離し、涙目になる。
「……やれやれ、仕方ありませんね」
藤咲フィアナが落ち着いた声で革手袋を取り出す。
「こういうこともあろうかと準備してきました。私が開けます」
彼女が手袋をはめ、扉を押し開けると、ギギィ……と音を立てて重い扉は開いた。
藤咲がライトの魔法で内部を照らすと、カインが内側の扉に妙な部品を見つけた。
「なにこれ? ……あ、イタズラグッズじゃないか? 街で一時期流行ってた、少しの力でビリっとくるやつ」
カインが眉をひそめる。
「なんでこんな古い洋館に……?」藤咲が不思議そうに呟いた。
「知らん! もうさっさと浄化して帰るぞ!」カインのイライラは募るばかりだ。
藤咲が上階を指差す。
「怪しい気配は上から……きっとそこに何かがいます」
「……よし、俺が先頭だ。お前たちは少し距離を取ってついて来い」
カインが慎重に階段を登り始めた、その時――
カチッ。
ばふっ!!
「しまっ――」言い終わる前に、階段下にいた一二三先輩と藤咲が粉まみれになる。
「ぶっ……! す、済まん! 俺がスイッチを踏んだせいで……ぷっ、クククッ!」
カインは笑いを堪えながら謝る。
「カイン様〜! 気をつけてくださいよ〜!」藤咲が眉をひそめる。
「なんにも見えねえ! メガネが真っ白だぞ!」一二三先輩も粉まみれで叫んだ。
「次からは慎重に行く! 本当に悪かった!」
カインは額に汗を滲ませながら謝る。
だが廊下に入ると、また妙なボタンを見つけた。
「ここにも罠か? 踏むなよ、絶対に――」
カチッ。
ゲッボ!!
今度はカイン自身が黒い粉まみれになった。
「げほっ、げほっ! な、なんだこれは! 悪霊が仕掛ける罠にしては下らなすぎる!」
カインの怒りは限界に近づく。
藤咲が気配を探りながら言う。
「……悪霊ではない、かもしれません。けれど、人間でもない。何かが、この屋敷にいます」
「なんでもいい! 先に進むぞ!」
カインは怒りに任せて歩みを進めた。




