表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
103/124

第99話 『怪しい洋館風の建物が見つかる』


とある夜勤の日

カインと一二三先輩が、いつものように深夜のレジ番をしていた。

コンビニの店内は静まり返り、時折やって来る客の足音と、レジの「ピッ」という音だけが響いている。

そこに――バタン!と勢いよく自動ドアが開き、店長が息を切らしながら飛び込んできた。

「カイン君、大変だ! 異世界の方でとてつもなく怪しい洋館風の建物が見つかった!」

店長の目はギラギラと輝き、完全に“面白がっている”それだった。

カインは両腕を組み、カウンターにふんぞり返って言い放つ。

「嫌ですよ。どう見ても怪しさ満点じゃないですか。絶対面倒ごとになる顔してますよ、店長」

「まあそう言うと思ったよ……」

店長はわざとらしくポケットからハンカチを取り出し、目元を拭きながらうそ泣きを始める。

「せっかくワクワクドキドキを探してきたのに、拒否するなんて……」

「泣き落としなぞ、我には通じぬ!」

カインはピシャリと拒否。

だがその瞬間、店長が後ろに手を振った。

「藤咲さん! 異世界が大変だというのに、カイン君が恐れをなして動こうとしないんだ! 助けてくれないか!」

どこからともなく現れた藤咲フィアナが、ぱっと目を見開いた。

「まあ! カイン様、異世界で困っている人達がいるんですよ? 助けに行きましょう! 過去に起こした罪滅ぼしにもなりますよ!」

「いやっ、ちょっと待――」

藤咲さんはカインの手を容赦なく掴み、そのまま異世界の扉の方へとずるずる引っ張っていく。

店長は満足そうに腕を組み、にやりと笑った。

「ほら! 英雄というものは庶民を助けてナンボ! 一二三君も手伝って! ここは任せて先に行け!――言ってみたかったんだなあ、この言葉」

「いや、特に英雄になりたいと思ってないんだけどな?」と一二三先輩はぼやきながらも、カインの背中を押し始めた。

「まあでも、たまには師匠がいる異世界に行くのもいいかもしれない。今日の夜勤は暇だったし……魔法の練習がてら行ってみるかな! よしカイン君、行くぞ!」

「やめろぉぉぉ! 我はまだ心の準備が――」

カインの叫びもむなしく、異世界への扉が光り輝き、三人まとめて吸い込まれていった。

――残された店長だけが、なぜかやけに満足げな顔をしていた。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ