ゴミの可能性
マサルはスラムで少女リアと出会った。ゴミを手に持つ彼女は、マサルを胡散臭そうに見つめる。「転生者? ハズレ能力ならさっさと消えな。邪魔よ」
「消える前に試させてくれ」マサルはゴミの山に手を伸ばした。腐ったリンゴを握ると、光が走り、リンゴは硬い木の塊に変わった。「お、木だ!」興奮するマサルに、リアは鼻で笑う。「木? 燃やす以外に何の役に立つの?」
マサルは考えた。元リサイクル作業員の知識をフル回転。木は燃えるし、加工すれば武器や建材にもなる。ゴミは無限にある。この能力、使い方次第では…。「ちょっと付き合えよ!」彼はゴミを漁り、壊れた木箱、ボロ布、錆びた釘を集めた。変換を繰り返す。木、木、鉄…そして、10回目、ボロ布が青い結晶に変わった。
「魔石!?」リアが目を丸くする。魔石は魔法を動かす貴重な資源で、貴族ですら滅多に手に入らない。「どうやって…?」リアが聞くが、マサルも分からない。変換結果はランダムらしい。だが、仮説が生まれた。ゴミの種類や状態で、結果が変わるのではないか?
マサルはリアにゴミの分類を頼んだ。金属ゴミ、食べ物ゴミ、布ゴミ…。試行錯誤の末、金属ゴミは「鉄」や「銅」に、食べ物ゴミは「木」や「毒草」に変わりやすいと分かった。魔石は稀だが、ゴミの「質」が高いほど出る確率が上がる。マサルはニヤリと笑った。「ゴミは宝の山だぜ」