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ゴミの革命
高木マサル、25歳、元リサイクル工場の作業員。目を開けると、鼻を突く腐臭とゴミの山が広がっていた。錆びた鉄片、腐った果物、崩れた石壁の瓦礫。空は灰色の煙に覆われ、太陽すら見えない。異世界転生のはずが、このゴミだらけのディストピアは何だ?
「よお、転生者! 能力確認だ!」甲高い声が響く。目の前に浮かぶのは、キラキラした水晶玉――おそらく、この世界の「神」の使い。「お前の能力は『ゴミ変換』! 触れたゴミを別の資源に変える!」
マサルは試しに近くの壊れたスプーンを握った。指先が光り、スプーンは…木のスプーンに変わった。「は? ただの素材変更?」水晶玉はケラケラ笑う。「ゴミをゴミに変えるハズレ能力! ま、死なないよう頑張れよ!」そう言い残し、消えた。
マサルは呆然とゴミの山を見た。チート能力で無双する転生者像はどこへ? だが、目の前のスラム街では、ボロボロの服を着た住民たちがゴミを漁り、わずかな食料や道具を探している。この世界、資源は貴族が独占し、貧民はゴミの中で生きるしかなかった。