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祝福されたテイマーは優しい夢をみる【2巻発売中】  作者: はにか えむ


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64.テイマーコンテスト

 今日は待ちに待ったテイマーコンテストだ。この一ヶ月、アオとモモは頑張った。誰に見せても恥ずかしくないダンスを完成させていた。僕らはシロに乗って会場に向かう。会場は対抗戦と同じ場所だ。中に入ると対抗戦の思い出が蘇ってくる。

 

 受付を済ませて競技場に入ると、観客席に応援に来てくれたみんなの姿を見つけた。テディーが身を乗り出して手を振ってくれる。僕は手を振り返した。ダレル君とそのお父さんも来ていて、さらにデリックおじさんまでいた。最近おじさんは家に居ながらできる仕事しかしていないらしい。魔物の討伐に疲れたそうだ。

 今日は午前中はレース。午後は可愛いコンテストだ。午後になると観客は競技場まで降りてくることが出来る。そこで歩きながら従魔達のパフォーマンスを見て、予め渡された花で投票するのだ。テイマーとも話ができるので、商売をしている人からしたらアピールし時だ。

 僕は午前と午後両方に出場するので、もう競技場に入っている。観覧席では料理が売られていたりして、みんな和やかに観戦モードだ。

 

 僕は先程から誰かに見られているような感じがした。ここに来てからはそんな視線を多く感じていたけど、こんな強い視線は一つだけだ。目の端で確認すると、十五歳くらいの白髪の男の子がこちらをじっと見ていた。

 彼の隣にはブラウンベアがいる。ブラウンベアはブラックベアと似ているけど、大人しく性格が温厚なので従魔にしている人を度々見かける。それでも珍しい部類だ。特に彼のブラウンベアは大きいように思う。

 きっとシロと同じ、一番大型の従魔レースに出場するんだろう。強敵かもしれない。

 彼の視線には絶対に負けないという気迫を感じる。何か事情があるのかな?賞金が必要とか。

 僕は少し彼のことが気になった。

 

 暫くしてこのイベントの主催者が挨拶すると、会場は沸いた。

 シロの他にもオーストリッチのような魔物やカンガルーのような魔物、珍しい大型従魔が沢山揃っているんだ。見応えのあるレースになるだろう。

 まずは小さい従魔達のレースから始まった。観客は誰が勝つか予想しながら楽しんでいる。結局優勝したのは、郵送業で速達配達を担当しているレッドバードだった。テイマーがインタビューに答えて仕事の宣伝をしている。レッドバードは体力もあるから遠くの配達にも対応できると、自信を持って胸を叩いていた。

 従魔を自慢して賞金が貰えて店の宣伝もできるんだ。このコンテストが人気なわけだ。

 

 二位や三位の人にもインタビューが終わり、中型従魔のレースだ、これはエントリーしている人がとっても多いため、何回かに分けられて、その上位者たちが最後に争うことになっている。従魔としては定番中の定番のウルフ種の参加が多い。ウルフ種にも色々な種類があるので、見たことの無い子もいて楽しかった。

 結局勝ったのは、美術館の警備をしているというガッシリした体格のウルフだった。日頃から訓練を欠かしていないようで、ウルフも堂々とした佇まいだった。

 

 さて最後はシロが出場する大型従魔のレースだ。一応シロは種族不明なのだけど、ジャイアントウルフという事にしている。ソックリなのがそれしか居ないんだ。

 この大型レースにはとにかく珍しい従魔が揃っていた。シロが普通に見えるくらいだ。本来大型の従魔はテイムするのがものすごく難しいからしょうがないのかもしれない。テイマーはお金持ちな人が多そうだ。わざわざ捕まえさせたのかな。僕は少し胸がザワザワした。

 どうやら見る限り、任意テイムなのは僕と白髪の男の子だけらしい、額の文様を見ればわかる。

 僕は珍しいジャイアントウルフの任意テイムという事で、レース開始前インタビューをされた。緊張してシロとの出会いを語ると、観客席から拍手が起きた。怪我をしたジャイアントウルフの子供に遭遇して治療をしたら懐かれただけの話なんだけど、感動的だなと言われてしまった。

 白髪の彼もインタビューを受けている。名前はジュダ・ハイヤーというらしい。彼の場合は森で迷子になったところをブラウンベアが助けてくれたらしい。凄いな、とても優しいブラウンベアだったんだな。会場はまた拍手していた。

 子供で目立っている僕達が気に入らないのか、嫌な視線を向けてくる参加者もいたけど、半数は感心したように僕達の話を聞いていた。

 そういう人は従魔との仲も良好そうだ。

 とうとう位置についてレースが始まる。この競技場の中を三周、一番早く走りきった従魔の勝ちだ。僕はアオとモモと一緒にゴールからシロを見守る。

 シロは勝てるかな。僕はおばあちゃんに祈った。

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