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51.妖精の里再び

 翌日学園でみんなに妖精に飛び方を習いに行かないかと提案した。

「へえ、妖精に習うなんて発想は無かったな」

 テディーが感心したように言う。

「確かに飛行のスペシャリストよね。さすがデリック様」

 ナディアがおじさんを褒める。

「いいじゃん!みんなでまた行こうぜ!俺ももっと妖精と仲良くなりたかったんだ!」

 メルヴィンの言葉にグレイスも頷いている。

「じゃあ決まりだね。明日は妖精の里に行こう!おじさんも付いてきてくれるって!」

 僕達は妖精にあげるお土産のことなどを話し合ってその日は解散した。

 

 次の日、学校の休日に冒険者ギルドの前で待ち合わせる。

『よ~うせい、ようせい、あ~いにいく~からまって~るの~』

 シロに乗ってギルドの前に向かうとアオが上機嫌に歌っている。

 途中で妖精が大好きなお菓子を購入するのも忘れない。できるだけ小さいお菓子を選ぶのが大変だった。

 少し時間をかけ過ぎたらしい。みんなもうギルドの前で待っていた。

「おう、おはようエリス。妖精用のキューブができたぜ」

 おじさんが見せてくれたキューブは完璧だった。妖精も喜んでくれるだろう。

 僕達はギルドの転移ポータルで妖精の森の近くに転移した。

 すると前に貰った妖精の友人の証のおかげか、普通に妖精の里に入ることが出来た。

 

 妖精達が僕達を見て飛んでくる。

「いらっしゃい、遊びに来たの?」

「今日はちょっとお願いしたいことがあってきたんだ。先に長に挨拶させてくれる?」

 何人かの妖精が長の元まで案内してくれる。

「おお久しいの、また遊びに来てくれたのか」

 長は僕達を歓迎してくれた。僕達は手土産を渡すと、事情を説明して協力をお願いした。周りで話を聞いていた妖精が楽しそうだとみんなを呼びに行った。

「人間の遊びか、楽しそうじゃのう。森は退屈だからな、みな喜ぶじゃろう。飛び方の練習もみなに教わるといい」

 僕達は長にお礼を言って、早速広場に小さなキューブを設置した。妖精用の小さな腕輪もある。小さいと可愛いな。

 たくさんの妖精が集まってこちらを見ていた。僕らはみんなを呼ぶとルールを説明した。とりあえずやって見ることにしたらしい。妖精はジャンケンをして十五人ずつにわかれていた。妖精もジャンケンとかするんだな。

 僕らは飛行のスペシャリスト達の戦いを観察させてもらうことにした。

 全員にシールドを張ってゲームが始まる。ここからは圧巻だった。とにかく速い。真ん中のキューブを取りに行った後は攻防戦になるが、妖精はとにかく魔法を避けるのが上手かった。ゲームは点を取られては取り返しの白熱したものになった。

 僕は何が違うんだろうと妖精達を観察する。するとあることに気づいた。妖精達はいつもギリギリのタイミングで攻撃を避けている。そして最小限の動きしかしていないんだ。攻撃を引き付けて最低限の動きで避ける。なるほど、そうすれば次の行動が読まれることも少ないしスピードもほとんど落ちない。相当弾幕で魔法を打たれない限りは当たらないだろう。

 僕は感心した。

「なにか掴んだ顔してるな」

 おじさんが頭を撫でて僕に言う。僕は大きく頷いた。

 妖精達は陣取り合戦を気に入ったようだった。おじさんが予備で作っていたもう一組のキューブも取り出すと、みんなで遊び出す。僕らは陣取り合戦をする妖精の片隅で飛ぶ練習をした。年長の妖精達が僕らの指導役になってくれた。

「懐かしいわ、メリッサにもこうして飛び方を教えたものよ」

 この妖精はメリッサさんの指導をしたことがあるらしい。妖精は長生きだもんな。

 その日は夕方までひたすら飛ぶ練習をした。たった一日だけど安定して飛べるようになったと思う。メルヴィンは運動神経が良いからか、飛躍的に上達していた。

 みんなも手応えを感じたようで、嬉しそうだ。

 妖精達はずっと横で陣取り合戦で遊んでいた。

 帰りには楽しい遊びを教えてくれてありがとうと、お土産に果物を貰った。気に入ってくれたなら良かった。

 帰りにおじさんが僕達を褒めてくれた。おじさんから見ても上達していたらしい。

 

 

 

 その日は疲れきってぐっすりと眠った。明け方、前世の僕がバンジージャンプに挑戦する夢を見た。普通に飛ぶより怖いと思うんだけど、何故そんなことするんだろう。楽しいのかな?

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