49.交流
結局その日は希望者達が数回適当にチームを組んで陣取り合戦をして終了した。フランク先輩は一年生の僕達にも沢山参加させてくれたからいい先輩だなと思う。
終了間際、一年生はみんな騒がしいドミニク先輩達に絡まれた。質問攻めにされたというか、色々教えてくれて楽しかったから良いんだけどね。五年生は来年の対抗戦に向けて下のクラスのことも把握しておく必要があるんだろう。四年生の先輩達も僕達によく話しかけてくれた。
見ていて思ったのが一番自由人の集まりなのは二年生だってことだ。ほんとに個人主義なんだろう、クラスで会話することも無く一人でいる子が多い。級長と三名固まっている子達だけがとても仲がいいようだった。面白いクラスだなと思う。二年生は対抗戦の出場希望者もほぼ居ないらしい。
先輩達が僕ら一年を可愛がってくれるのは、打っても響かない二年生の反動もあるんじゃないかな。
打ち合わせ時間が終了しても、ドミニク先輩に絡まれている僕らを見て五年級長のアジズ先輩が助け舟を出してくれる。アジズ先輩は『テイマー』だったらしく、珍しい赤毛のウルフを連れていた。
「あまり一年に絡みすぎるなよ、ドミニク。お前は本当に時間を気にしないんだから」
シロは待っているあいだアジズ先輩のウルフと仲良くなっていたらしく。アジズ先輩の後ろから付いてくる。
「おおおー超かっこいいウルフじゃん!気になってたんだよな!エリスの従魔だろ?かっこいいー!」
アジズ先輩の忠告は意味を成さなかったらしい。ため息をついて人の従魔に勝手に近づくなと言っている。シロはかっこいいと言われて嬉しかったらしく、尻尾をブンブン振ってドミニク先輩に頭をこすり付けているから大丈夫だ。
「お、スライムもいる!そのスライムカチューシャ可愛いよなー!」
『なかなか見る目があるやつなの!ちょっとくらい撫でても許してやるの!』
ドミニク先輩は興味の対象には何処までも突っ込んでいくらしい。
アジズ先輩に代わりに謝罪されたが僕は気にしていない。因みに僕らと一緒に最前列で試合を観戦していたモモは今はグレイスの腕の中にいる。
ドミニク先輩は一通りシロを撫でて満足したらしい。僕達も練習場を出ることになった。選手は次の打ち合わせの時に発表になるようだ。
テディーとグライスと三人で秘密基地に行くと、二人はもう待っていた。
「よう、遅かったな」
メルヴィンがお菓子を食べながら声をかけてくれる。ナディアはお茶を入れていた。
「それで、どうだった?打ち合わせ」
メルヴィンの言葉に僕達は感想を語り出す。ナディアが皆にお茶を入れてくれながら笑っていた。
「いいなー、そんな何回も体験できたのか、陣取り合戦。ウチは一年生は一回だけだったよ」
メルヴィンは羨ましそうに言ってきた。でも嬉しいことがあったらしい、なんとメルヴィンは格闘技トーナメントの選手に選ばれていた。レッドは自己身体強化魔法の使い手が多いのに、一年生で選ばれるなんてすごいことだ。数が多かったので実際に戦ってみて出場者を決めたらしいが、上級生にも勝てたそうだ。
メルヴィンは二浪しているから一年生にしては年齢が高いけど、それでも上級生に勝てるのは凄い。体格差はやはりあるからだ。
ブラックにはそもそも五人しか自己身体強化魔法の使い手が居なかった事を話すと、ナディアのイエロークラスも似たようなものだったと教えてくれた。これはトーナメントはレッドの圧勝かな。
レッドは陣取り合戦では四年連続最下位記録を更新中らしいので、丁度いいのかもしれない。
メルヴィン曰く、陣取り合戦よりもトーナメントで負ける訳にはいかないと張り切っていたらしい。
一方ナディアのイエロークラスはそもそも一年の参加希望者すら聞かれなかったそうで、上級生で固めることが確定しているようだ。頭のいい人が集まっているイエローらしい合理的な判断だ。
練習に参加させてもらえる僕達を羨ましがっていた。結局一試合試しに参加させて貰えただけだった様で、もっと体験したかったと零していた。
「でも意外と難しいよね、僕飛びながら魔法を使うの苦手かも」
テディーが言うと、みんな首を縦に振る。
「僕は魔法を避けるのが難しかったな。マークされてたからもあるかもしれないけど、集中砲火されるとすぐに当たっちゃう」
みんな僕の言葉に共感しているようだった。
「将来のために今から対策を考えて練習しておくべきかもね」
僕らは今度から練習を始めることにした。お互い撃ち合いをするだけでも練習にはなるだろう。僕はちょっと楽しみだった。陣取り合戦、楽しかったもんな。上手に出来るようになりたいよね。
結局その日は少しだけ勉強してそのまま解散になった。
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