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祝福されたテイマーは優しい夢をみる【2巻発売中】  作者: はにか えむ


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46.対抗戦の打ち合わせ

 中間試験の結果は全員合格だった。僕達は手を取って喜びあった。メルヴィンが筆記で平均点以上を取っていたこともあって、僕達はみんな有頂天だった。これで後期のクラス対抗戦も気兼ね無く参加することが出来る。

 

 今日はクラス対抗戦の打ち合わせだった。初めて先輩達と直接顔を合わせる事になるんだ。僕らはブラッククラスのギャガン先生からの評価に一抹の不安を覚えつつも、楽しみにしていた。

 第四練習場がブラッククラスに与えられた打ち合わせ場所だった。

 一年生の僕らは真っ先に来て先輩達が揃うのを待っていた。

 

 次第に先輩たちが練習場にやって来ると、僕達は緊張した。無駄にクラスで固まって整列してしまった。シロ達従魔は後ろの方で寛いでいる。

 最年長の六年生が入って来た時、六年生の先輩達は驚いていた。

「今年の一年生は大人しいのが多いと聞いていたが、本当だったんだな。整列して待っている後輩なんて初めてじゃないか?」

 僕達も整列しているだけで突っ込まれるとは思っていなかった。正しい形だと思うんだけど違うんだろうか。

「いや、お前たちが正しい。ただ過去の後輩達が自由すぎただけだ。ブラックは基本的に個人主義の集まりだからな」

 恐らく六年生の級長だと思われる、長い青髪の先輩が言った。

 僕らはホッとして目配せし合う。一年生のブラッククラスは個性的だけどみんな仲が良かった。

「ギャガン先生が今年のブラッククラスは仲が良いと仰っていたが本当だったな。心配事が減るのはいい事だ」


 

 六年生の代表が前に出ると、みんなに挨拶した。

「私は六年生の級長のフランク・マクマホンだ、今回のクラス対抗戦での代表を務めることになる。去年はホワイトに煮え湯を飲まされ、二位という結果に甘んじてしまったが、今年は優勝を狙っている。皆それぞれの特技を生かし、ブラックの勝利に貢献するように」

 それだけ言うと、五年生の方から歓声が上がった。

「ひゅー!フランク先輩サイコー!」

 適当にも程がある野次だ。上級生達はそれを言った先輩と一緒に手を叩いているが、それでいいのだろうか。僕達は困惑した。

「ドミニク・エレビー。今年も元気でいい事だが、一年生が困惑している」

 フランク先輩は溜息をつきながら言った。

「すみませんうちのバカが……」

 フランク先輩の横に補佐として並んでいた赤髪の五年生の級長が、申し訳なさそうに頭を下げた。

「構わない、ドミニクのあれはもはや特技だろう。一年生の事を考えながら適当に相槌を打ってくれればいい」

 ドミニクと呼ばれた五年生の先輩は、流石フランク級長と言いながら楽しそうにしている。

 彼の騒がしさも軽さも性格なんだろう。フランク級長は特に気にしていなさそうだ。

 

「今年の競技は例年とは少し異なる。例年は大体フライングシューズを用いたレースが競技に含まれるが、今年はそれがない。恐らく今年のブラックの一年生が速すぎるせいだと思われる」

 クラスの皆をスピード狂に育成したことが逆に徒となったらしい。勝利に貢献できるかと思っていたのに残念だ。

 

「えーじゃあ今年の競技は何なんですかー?」

 ドミニク先輩がいい感じに相槌をうってくれる。五年生の他の先輩がガヤを入れてくれるので何だかテレビ番組でも見ている気分だ。

「今年は滅多に見られない伝説の格闘技トーナメントが開催される。自己身体強化に特化した生徒を色ごとに五名ずつ集め、二十名でトーナメント戦を行うんだ。レッドクラスが有利だろうが、ブラッククラスも負けてはいられない」

 おおーと今度は四年生が歓声をあげる。四年生には高度な自己身体強化魔法の使い手が居るらしい。見ればわかるほど筋肉を肥大させた大柄の先輩がそうだろう。

 

「他には正確性を問う的当てと、威力を問う的当てが今年の競技だ。これら三つの内のどれかに、全員が参加しなくてはいけない。それらの得点を合わせた総合点で、クラスの点数が決まる」

 ドミニク先輩と五年生の先輩たちが無意味な雄叫びをあげる。その流れに乗ってフランク先輩は断言した。

「しかし最も重要なのは、対抗戦のトリにして花形、陣取り合戦だ!これに勝てば最早優勝と同じ。我々ブラックはこの陣取り合戦に全てをかけるぞ!」

 熱狂する上級生達に僕達もよく分からないながら楽しみになった。

 見ると先輩達も、バラバラに座りながら楽しそうにしている。思っていたよりギスギスして居なくて安心した。

 

「一年生に自己身体強化魔法の使い手が居ないことは確認している。それは上級生に任せて、一年の級長は残りの二つの競技に誰を出すか話し合って欲しい。威力と正確さ、どちらに優れているかで決めるといい。人数が偏っても構わない」

 元気に返事をしたダレル君はみんなに向き直った。威力と正確さではそれぞれ得意分野がある。僕は威力、テディーとグレイスは正確さを競う競技に出ることになった。

 テディーはデリックおじさんに言われた、魔法が雑になりがちという言葉を気にしていた。それから必死で魔力操作技術を鍛えていたんだ。この対抗戦で実を結んでくれたらいいなと思う。

 

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