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43.おじさんのアドバイス

 翌日、モモのおかげでちゃんと夜に寝られた僕は、元気に冒険者ギルドへ向かった。

 シロに乗って移動していても、もう近所の人達は慣れたらしくにこやかに挨拶してくれる。

 

 ギルドの前に付くとデリックおじさんが、テディーとメルヴィンと一緒に雑談していた。

「おはよう!エリス!」

 すぐにこちらに気づいた三人が、声をかけてくれる。

 みんなで今日はどこに行くかを話していたらしい。せっかくだから強めの魔物がいるところが良いとメルヴィンが主張している。おじさんもそれで問題ないそうだ。

 やがてグレイスとナディアもやって来て、僕達はギルドの掲示板を見に行った。

 

 これなんてどうだと、おじさんがヒッポーの群れの討伐依頼を指した。最近増えすぎているので間引いて欲しいというギルドからの依頼だ。

 本来僕達の階級で受けられる依頼では無いけど、今日は指導という形でおじさんが居るから大丈夫なようだ。

 ヒッポーとはカバのような魔物のことだ。とにかく力が強いため、真正面から戦えるのは自己身体強化魔法の練度が高い者だけだ。歯が高値で売れるので、採算も取れる。今日の冒険にピッタリだろう。

 

 僕達は転移ポータルを使って目的地の傍に行った。突然英雄がやって来たので、ポータル管理の職員さんが目を丸くしていた。指導してもらえることになったのだと言うと、羨ましいと返された。

 職員さんがにこやかに送り出してくれて、僕たちは森に入る。

 

 

 

 とりあえずいつもやっているようにやれと言われて、僕達はグレイスにまじないをかけてもらった後、シロの鼻でヒッポーの匂いを探してもらいながら奥へ進んでゆく。その途中テディーが鑑定で珍しい植物を探すのもいつも通りだ。

 途中シロが僕達でも倒せる魔物を見つけて教えてくれると、少し寄り道して魔物を倒す。

 

 一連の流れを見ていたおじさんはただ感心していた。

「お前達は少しパーティーバランスが悪いんじゃないかと思ってたけど、凄いな!冒険者の理想的なあり方を見てるようだ」

 戦闘という意味では確かにバランスが悪いかもしれないけど、僕達はお金を稼ぐことに関してはこれ以上ないくらい理想的なパーティーだ。特に『鑑定士』と鼻が利くウルフが居るのは大きいと思う。

 

「この、モモだったか?戦闘時の前衛に従魔がシールド張れるのはかなり有難いな。それにアオは高位の治癒魔法が使えるんだろう?隙が無いな。『テイマー』はこれだから侮れないんだよな」

 おじさんはアオとモモを撫でながら褒めている。二匹は誇らしげな様子だ。

「シロのおかげで危険回避も出来るようだし、安心して冒険できるな。いい仲間に出会えて良かったな」

 おじさんは僕の頭を撫でると、シロのことも撫でた。

 そしてテディーとグレイスに向き直る。

「冒険者の冒険に『鑑定士』と『まじない師』がここまで役に立つとは気が付かなかったよ。パーティーを組む時に敬遠されがちなジョブだからな。実際パーティーを組むとここまで活躍できるのか、勉強になった」

 おじさんは二人のことも撫でて、晴れやかに笑った。

 

 

 

「冒険のやり方に問題はなさそうだな、今日は実践方法を中心に教えよう。特に前衛二人だな。二人はこのパーティーの要だ。獲物に直接ダメージを与えられるのは二人だけだからな。後衛は前衛をよく見てサポートする練習だ」

 

 おじさんはさっきの戦闘を見て改善点を教えてくれた。

「まずメルヴィンはもう少しナディアのことを気にかけろ。今まで全部ナディアがお前に合わせてくれてたぞ。ナディアが力押しのお前に付いていくのは大変だ。それに身体強化のかけ方にも無駄が多すぎる。もう少し強化範囲を搾って研ぎ澄ませろ。魔力の消費は最小限に抑えるべきだ。ナディアはその辺優秀だな。ただ目端が利く分積極的にメルヴィンの補助に回りすぎだ。お前はアタッカーなんだからな、補助は後衛の仕事だ」

 二人は言われたことを噛み締めている。確かに二人の戦闘を見ていると共闘していると言うよりナディアがサポートしているように見える。流石アドバイスが的確だ。


「次は後衛、グレイスは判断は的確だが反応が遅い。もう少し戦闘における反射神経を鍛えろ。テディーは判断力もあるし反応もいいが、魔法が雑になりがちな傾向にある。もう少し魔力操作を早く正確にできるように鍛えろ。エリスは総合力はあるが、どうにも周りを気にし過ぎだ。保護者じゃないんだから常に周囲のサポートばかりする必要は無い。威力のある魔法が使えるんだからもう少し積極的に敵に当てていけ」

 おじさんのアドバイスに今後の課題が見えた気がした。僕は朧気だけど前世の記憶があるせいか、確かにみんなを守らなきゃという思いが強かった。でもみんな優秀なんだ。もう少し仲間を信頼しないと。

 

「よし、じゃあ今のことを踏まえてヒッポー退治だ。シロ、案内してくれ」

『まかせて!』

 おじさんはシロに言うと、シロは元気に歩き出した。

 アトバイスでどう変わるかな。僕は少し緊張した。

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