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祝福されたテイマーは優しい夢をみる【2巻発売中】  作者: はにか えむ


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27.新しい仲間

 今日も僕らはシロに乗って冒険者ギルドへ行く。

『ぼ~けん!ぼ~けん!ぼ~けんし~ましょ!』

 上機嫌で歌うアオのリズムに合わせてシロの足も弾んでいる。

 多分今日もゴブリン退治になると思うけど、楽しそうだ。

 

 ギルドに着くと、まだグレイスしか来ていなかった。

「おはようございますエリス。シロちゃんにアオちゃんも」

 シロから降りて挨拶すると、グレイスはシロをもふもふしていた。

 シロも尻尾を振って喜んでいる。

「おはよう、シロは待ち合わせに最適だね」

 テディーもやってきてシロを褒めている。目立つもんなシロ。

 メルヴィンもやって来て後はナディアだけだ。

 

 ナディアを待つ間、メルヴィンが依頼を物色している。やっぱりゴブリン退治が安定だろうということになった。

「ごめんなさい、遅くなって!」

 ナディアが遅れたことを謝りながらやって来る。

 

「孤児院に熱を出した子がいてね、看病していたら遅くなちゃった」

 ナディアは孤児だと聞いている。生まれた頃から孤児院で育ったそうだ。だから学園には働きながら通っているんだ。昨日もソロで薬草採取をしていたらしい。その話を聞いてグレイスとテディーは早急に体力をつけると意気込んでいた。

 

「おし、今日はゴブリンの巣でも探すか!シロ、手伝ってくれな」

 メルヴィンがシロを撫でながら言う。

 シロの嗅覚ならきっと巣も見つかるだろう。巣を破壊すると報酬がいい。

 

 僕らはまた一昨日の森に転移した。

 グレイスが幸運値アップのまじないをかけてくれて、森の中を進む。今日もテディーは絶好調で珍しい物を見つけていた。

 

 シロの鼻でコブリンを探してもらっては狩りを繰り返していると。やがて洞窟にたどり着いた。

『あそこにいっぱいゴブリンがいるよ』

 シロの言葉に気を引きしめる。グレイスが能力向上系のまじないをみんなにかける。相変わらずグレイスのまじないは効果が高い。

 

 僕らは洞窟の中に発煙筒を投げ込んだ。煙に驚いて出てきた所を狩るのが巣潰しの定番なんだ。

 僕らは巣から出てきたゴブリンを逃がさないように手当り次第狩ってゆく。グレイスもテディーも次第に勝手がわかってきたようで、魔法でゴブリンの足を止めさせた。

 足さえ止めてしまえばナディアとメルヴィンが止めを刺してくれる。

 

 何十匹居ただろう。全滅させるにはそれなりの時間がかかった。

 討伐証明の耳を切り取っていると、巣に戻ってきたゴブリンがいたが、シロがやっつけてくれた。シロはとても優秀だった。

 

 

 

 最後に一応巣の中を確認しようと慎重に巣に入ると、そこには怪我をした通常より小さなピンクラビットが居た。食料にするつもりだったのだろう。

 

 僕が討伐しようとすると、何故かアオから待ったがかかる。

『この子、ただのピンクラビットじゃないの』

 どういう事だろう。そう思っていると、ピンクラビットが自身にシールドを張った。ピンクラビットは魔法が使えないはずである。僕らは驚いた。この子は突然変異種だ。ゴブリンに捕まりながらもシールドで自分の身を守っていたんだろう。

 

「すごいねエリス、またレア種に巡り会うなんて」

 テディーが揶揄うように言った。

「テイムするんですか?」

 グレイスが期待に満ちた目をしている。

 ピンクラビットを見つめると、相性は悪くなさそうだ。

 

 僕はこの子をテイムすることにした。魔法陣を描くとピンクラビットの額に文様が浮かび上がる。

「名前は……モモ!」

 そう言うと光が消えて額に文様が刻まれた。

『よかった、死なずにすんだ……もう駄目かと思った!』

 モモは涙を流して生存を喜んでいる。

「僕はエリス、よろしくね、モモ」

『よろしくおねがいします、一生ついていきます!』

 よっぽど怖かったのか、低姿勢だ。さっきは討伐しようとして悪いことをしたなと思う。

 

「また安直な名前だな」

 後ろでメルヴィンが呆れていた。

「小さい可愛いもふもふ……!」

 グレイスが触りたそうにしている。ナディアもソワソワしていた。

 通常個体より小さくて可愛いもんな。

 

 モモの怪我をアオが魔法で治す。

『感謝するの!私のお陰で助かったの!ちゃんと姉さんと呼ぶの』

『ありがとうございます!姉さん』

 謎の姉妹関係が成立したようだ。まあ、喧嘩しないならいいか。

 

 洞窟を調べて、洞窟の前で見張りをしてくれていたシロの元に戻ると、仲間が増えて驚いていた。

『よろしくおねがいします。兄さん』

『よろしくね、モモ』

 シロは嬉しそうだ。仲良くやれそうで良かった。


 

 

 僕たちはギルドに戻ってゴブリンの巣を潰したと報告する。すると職員さんが嘘を見抜く魔法道具を使って確認する。

 嘘をつく人がいるから、こういう仕組みになっているようだ。

 勿論審査に引っかかることも無く、巣の殲滅料金も上乗せして貰えた。一昨日の三倍は稼げたのでみんなホクホクだ。

 

 帰りにテイマーギルドでモモの登録をして、家に帰る。

 お父さんたちにモモを紹介すると、お母さんがあまりの可愛さに撫で回していた。

 

 

 

 おばあちゃん新しい仲間が増えたよ。僕は何匹くらいテイム出来るんだろう?

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