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23.実践授業

 さて、気を取り直して実践授業の開始だ。

 

 イヴリン先生は何やらポールの様なものを待ってきていた。

「今日はフライングシューズの乗り方の実践でーす。フライングシューズは魔力制御と魔力操作の練習にもなるので、最初にやりたいと思います」

 先生は練習場の至る所にポールを立ててゆく。

 そして魔法陣が書かれたボードを持ってきた。

 

「みんな、まず自分にシールド魔法をかけましょう。魔法陣はこれです。合格と言われた人は左に抜けてね」

 僕はシールド魔法を自分にかけた。すると先生にすぐ合格と言われる。見るとシールド魔法をかけるのに苦戦している子も居るようだ。かかりはするが、強度が弱すぎるんだろう。

 

「合格と言われなかった子は次までに練習してくるように!今日のところは先生が魔法をかけます」

 先生はできない子は容赦なく置いていくスタイルらしい。

 まあ、できない子ばかりに構っていても仕方ないもんね。

 

「さてみんな、今日はフライングシューズでこのコースを完走できるようになってもらいます。一人ずつ順番にテンポよく行きましょう」

 先生が杖を振ると、練習場に光の道ができた。さっきのポールと連動しているようだ。

「まずフライングシューズで飛んだことが無い人は手を挙げてー!」

 さすが名門校、飛んだことがない子は一人も居なかった。

 

「よし、じゃあ大丈夫ですね。テンポよくこの道を完走してみてね。それじゃあ一列に並んでー」

 先生は一人ずつゴーサインを出して飛ばせてゆく。その度に個人の課題を教えている。すごく的確でわかりやすい指示だった。

 

 僕の番が来た。僕は毎日少しずつ練習していたんだ。今ならきっとこのコースを走りきれる。

 ゴーサインと共に僕は飛んだ。ターンのところで少し制御が乱れてしまったが、それなりのスピードでそれなりの走行ができたと思う。

「うーん、君は自分で課題を見つけて頑張れる子だね。練習あるのみって感じかな。強いていうなら補助機能付きのシューズも一度体験してみるといいよ。予備があるから貸してあげるね」

 

 思いがけない指示だった。先生に貸してもらったシューズに付け替える。それは本当に初心者用のシューズだった。僕はもう一度列に並ぶ。そして飛んでみると、先生が何を言いたかったのか分かった。

 初心者用のシューズでは、正しい飛び方がとてもよく分かるのだ。

 バランスのとり方や重心のかけかた。魔力と言うより主に姿勢の問題点がよく分かる。僕は感動した。

 

「うん、コツを掴んだみたいだね!優秀な生徒で先生嬉しいです」

 先生に大きな声でお礼を言うと、また後ろに並び直す。今日はとにかくこの感覚を体に覚えさせよう。

 

 先生は時折列から離れさせて個人練習するように言ったりもする。

 とても効率的な授業方法だと思う。最初はコースを完走できない子も居たけれど、授業が終わる頃にはみんな完走できるようになっていた。イヴリン先生はすごい。

 

 

 

 みんな授業が終わる頃には疲れ果てていたが、嬉しそうにしていた。終業の鐘が鳴って先生が帰ってゆく。この後個人練習する子もいるみたいだ。

 僕は一先ずアオとシロのところに行った。

「ごめんね、退屈だったでしょ」

『みんなとお話してたから大丈夫だよ』

『かっこよかったの!私も飛びたいの!』

 アオが飛びたいなら、抱えて飛んであげよう。

 

 僕は靴に自分のフライングシューズを装着するとアオを抱えて飛んだ。授業の前より格段に上手く飛べている気がする。僕は高速で飛び回った。アオは歓喜の悲鳴を上げている。

 

 気がつくと、僕は周りの視線を集めていた。僕が降りるとみんな拍手してくれた。

 テディーとグレイスが駆け寄ってくる。

「凄いです、なんでそんなに速く飛べるんですか?」

「流石大魔女様のシューズ。そんなに速く飛べるなんて!」

 二人とも興奮しているようだった。

「大魔女様モデルのシューズだったんですね!私も買います!」

 グレイスは挑戦する気満々のようだ。テディーも悩んでいるように見えた。

「前は吹っ飛ばされたけど、今なら頑張れば飛べるかな?あんなかっこいいの見せられたら真似したくなっちゃうよ」

 上級生には補助機能無しのシューズを使っている人が少なからず居ると聞いている。何年かかけて練習してもいいんじゃないかと言ってみる。

「そうだよね、別に今すぐ飛べなくても、将来的に飛べればいいや。よし、買おう」

 テディは心を決めたようだ。

 

 

 

 帰宅すると僕はクタクタだった。

 

 シロの食事の事をお父さん達に相談してみると、お父さん達も不思議に思ったらしく、沢山食べさせることを許してくれた。

 シロがお腹一杯になるまで食べると、その量に驚いた。兄さんがシロのお腹周りを調べて、どこに入ったんだと不思議そうにしている。

「突然変異の魔物に関しては、解明されていないことが多すぎるからなぁ」

 お父さんもシロを眺めながら不思議そうだ。

 

 

 夜、シロとアオを抱えてベッドに入る。

 おばあちゃん、明日はいよいよ冒険者として魔物を討伐するんだよ。上手くできるといいな。

 

 その日の夢は何かモンスターを倒すゲームをやってる夢だった。

 前世の僕、遊んでばっかりだな。

 

 

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