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祝福されたテイマーは優しい夢をみる【2巻発売中】  作者: はにか えむ


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117.妖精の本気

 翌日は妖精達に起こされた。妖精達は早く遊びたくてしょうがないらしい。僕はまだ寝ているテディーとメルヴィンを置いて少しだけ回復薬を作ることにした。

 男の子の妖精を引き連れて庭の小屋に向かうと、人間には絶対にレシピは秘密だと言って回復薬を作り始める。妖精達は人間の作る薬に興味があったようで、手伝ってくれながら妖精の薬の作り方を教えてくれた。

 人間と妖精では草花の呼び方が異なるみたいで、知らない材料が沢山出てきてちょっと困惑した。

 

 朝食の時間まで回復薬を作ると、食堂に向かう。みんなもう起きて僕らを待っていた。

「おはよう、エリス。起きたら居ないからビックリしたぜ」

 メルヴィンの言葉にシロが突進してくる。

『おはよう、僕を置いていかないでよ、寂しかったよ』

 眠そうだったから置いていったけど、シロは起きたら僕がいなくて驚いたみたいだ。悪いことしちゃったな。

 シロを撫でながら僕は謝った。クリアは僕が居なくてもそれほど気にならなかったみたいで、止まり木で欠伸をしている。

 アオとモモは女の子組と一緒に寝ていたので、今も女子会宜しくかたまっている。

「よく早起きできたね。僕なんてまだ眠いのに」

 テディーは昨日ものすごく頑張っていたから当然だろう。あんなに鑑定するのは生まれて初めてだと言っていた。

 ただでさえ元々人並み以上のテディーの鑑定が、さらに成長するんじゃないかとみんなでからかったくらいだ。

 個人差はあるけどジョブは成長するからね。色々挑戦してみるに越したことはない。

 

「そういえば、妖精にもジョブってあるの?」

 ナディアが妖精に質問すると、妖精が頷く。

「人間のジョブとは少し違うけど、固有能力はあるわよ。植物を育てる能力とか、調薬とか」

 僕らは初めて知った事実に感心した。

 朝食を取りながら、妖精達の話に聞き入る。妖精にはテイマーは居ないらしく、魔物を手懐けられるのは羨ましいと言われた。体が小さいから毛皮が欲しくても獲物を狩るのが大変なのだそうだ。

 モモの毛並みを撫でながら言うものだから、モモが少し怯えていた。モモの様子を見て、妖精がクスクスと笑う。妖精はイタズラが好きだからな。

 

 朝食後は男女で別れて、僕らは剣術を習うことにする。おじいさんが教えてくれるというのでお言葉に甘えた。

 前にデリックおじさんに教わってから、一応毎日型の練習はしていた。少しは上達したんじゃないかと思う。たまにシロが相手役になってくれたりしたから対魔物戦闘もばっちりだ。

『僕も手伝うよ!木刀だったらそんなに痛くないし、勝負しよう』

 シロが強そうなメルヴィンに擦り寄って勝負をお願いしている。通訳するとおじいさんが面白いからやってみろと言う。魔物と、ましてやジャイアントウルフと模擬戦する機会なんて普通無いもんね。

 僕も強いメルヴィンとシロの模擬戦は見てみたい。

 準備をするふたりを眺めていると、上の階のテラスからナディア達がこちらを見ながら裁縫をしていることに気がつく。僕が手を振ると向こうも振り返してくれた。

 

「では、はじめ!」

 メルヴィンとシロの戦いは中々見応えのあるものだった。大剣使いであるメルヴィンは木刀も大剣を模したものを使っていたのだが、とにかくシロに間合いに入られないように巧みに木刀を操っていた。

 シロのスピードが速いから、ほとんど反射で動かしているのだろう。その技術はすごいと思う。

 シロの猛攻に、一発逆転のカウンター狙いしか勝つすべがないと判断したのだろう。メルヴィンは攻撃を受けながら隙を伺っていた。何とかカウンターを成功させるも、シロには軽すぎたようだ。そのまま飛びかかられてシロの勝ちになった。

「あー、シロ強すぎだって。少しも怯まないんだもんな。さすがジャイアントウルフ」

 メルヴィンはシロを撫で回しながら起き上がる。


「楽しそう!僕達とも戦おうよ!」

 妖精がそんなことを言い出した。みんなキョトンとしてしまう。どうやって戦うつもりなんだろう。

 すると一人の妖精が地面に種を撒いた。するとそこからツタが伸びてくる。それは人の形を模していた。

 僕らは唖然としてしまう。いち早く我に返ったメルヴィンが興奮しながら勝負を受けて戦い出す。

 ツタ人形は強かった。切っても切ってもツタが生えてくるのである。メルヴィンは木刀から真剣に持ち替えて、無限に回復し続けるツタ人形と戦い出した。もう一人の妖精も同じようにツタ人形を出してメルヴィンに襲いかかる。メルヴィンは実に楽しそうだった。さらにそこにシロも加わって、最早よく分からない乱戦が繰り広げられていた。

 暫くは僕も興奮しながら見ていたんだけど、一向に終わらない勝負に飽きてしまった。

 

 永遠に終わりそうにない勝負に飽きた僕はおじいさんの裾を引っ張った。こっちはこっちで基礎訓練をする事にしよう。

 僕とテディーはメルヴィンと妖精達を放っておいて二人で訓練を始めるのだった。

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