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114.不穏

 翌日。昨日は思いのほか疲れていたのか、少しだけ遅い時間に目が覚めた。

 メルヴィンは起きていて、同じく起きていたシロのブラッシングをしていた。

「お、エリス起きたか。朝食はいつでも食堂に来てくれってメイドさんが言ってたぞ」

 僕はメルヴィンにお礼を言うと、身支度を整える。その間にメルヴィンがテディーを起こしてくれて、二人で欠伸をしながら服を着替えた。アオが寝る前に制服に浄化の魔法をかけてくれたから気持ちよく着られる。

「さっきアオとモモがカチューシャとリボンを取りに来てたぞ。グレイス達ももう起きてるんじゃないか?」

 メルヴィンがそう言うと、丁度扉がノックされる。返事を返すとナディアだった。僕とテディーは急いで支度を終わらせて廊下に出る。

 そこにはグレイスもいた。昨日の今日だけど元気そうで安心した。

 

 みんなで遅めの朝食をとろうと食堂に向かうと、お父さんが書類のようなものを読んでいた。

「おはようお父さん。珍しいね、この時間にここに居るなんて」

「昨日の犯人について教えておこうと思って待っていたんだ。食べながら聞いてくれ」

 僕らは席に着くと朝食を食べながらお父さんの話を聞く。

「一連の誘拐事件の犯人は彼らで間違いなかったよ。冒険者資格を剥奪されそうになった時に、不審な男に貴族の子供の誘拐を提案されたらしい。必要な道具はその男の紹介で行った闇市場で買ったと言っていた。そして男に言われるがままに指示された子供を誘拐していたそうだ」

 闇市場なんてあるんだ。いったい誰がそんな場所教えたんだろ。

「グレイス君の事は顔が割れているから誘拐するつもりは無かったらしいが、たまたま見かけて話かけたら覚えていないと言われて、逆上してさらったらしい。人違いだったわけだけどね」

 そっか、予定に無い誘拐だったんだ。だからあんなに簡単に捕まったのかな?それにしても何だかおかしな事件だな。

 

「ここからが大事な話だ。誘拐された子供はみんな七賢者側についた家の子供だ。今まで誘拐した子供には、男が何かの魔法道具を使っていたらしい。もしかしたら国王派がなにか企んでいるのかもしれない。捕まったヤツらはただの使い捨ての駒だろう。しばらく身辺には十分に注意して欲しい」

 お父さんがそう言うと、僕らは神妙に頷いた。

 

 それにしても、誘拐した子供に一体何の魔法道具を使っていたんだろう。少し考え込むと、僕はおばあちゃんの手紙を思い出した。『王家の魔法道具の効果を妨害できるのはこのアンクレットだけ』

 僕は背筋が冷えた。もしかして、王家は僕を探しているんだろうか?まさかね……

 僕は考えないことにした。大丈夫、もし誘拐されることがあっても、おばあちゃんの魔法道具が僕を守ってくれるはず。

 それに僕にはシロ達もいる。きっと大丈夫だ。

 

 顔色の悪くなった僕を見て、お父さんが一応影から護衛をつけるから安心しろと言ってくれる。

 影の護衛ってなんだろう。忍者みたいなやつかな、カッコイイ。

 僕は不安だったからお父さんの言葉に感謝した。

 そうだよ、お父さんも居るんだから、僕は絶対大丈夫だ。

 

 ナディア達も心配そうな目で僕を見ていた。僕は大丈夫だと笑う。

 みんなを見ていると、心が落ち着いた。

 お父さんは僕が落ち着いたのを見て仕事に戻っていった。

 残された僕らは朝食を食べながら今日の冒険について話し合う。

 

「今日はゆっくり女王花探しだな」

 メルヴィンが言うとテディーは気合を入れていた。

「絶対ぜーったい見つけてみせるよ!鑑定士として見つけない訳にはいかないでしょ」

 アオが飛び跳ねながら注意喚起してくれる。

『リタの花は美味しいの、近くにはスライムがいっぱい居るの、気をつけるの』

 とっても小さな花だけど、美味しいのか。スライムにとってはご馳走なのかな。

 リタの花の群生地には強い魔物はいないけど、警戒は忘れないようにしよう。

 

 僕らは朝食を終わらせると、グレイス以外のみんなの家を経由しながら冒険者ギルドへ向かう。

 冒険に必要な物を取りに行くためだ。

 昨日みんな家に二泊することが決まったから、今日の夜もお泊まり会だ。

 こんなにワクワクしながら冒険に行くのは久しぶりだな。

 テディーの親戚のおばさんやメルヴィンのお母さん、ナディアの孤児院の院長先生に挨拶をして少し話した。突然のお泊まり会だったからみんな心配していたようだった。

 

 冒険者ギルドに着くと、早速宝探しの始まりだ。僕らは一つ目の目的地への転移ポータルへ飛び乗った。

 

 

 

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