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祝福されたテイマーは優しい夢をみる【2巻発売中】  作者: はにか えむ


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101.バーベキュー

 つけダレに漬けていたお肉を焼くと美味しそうな匂いが辺りに充満しだした。セス君とアオがお皿を持って真横で焼き上がるのを待っている。

「もう匂いからして絶対美味しいって分かるね、早く食べたい」

『そうなの、最高なの!エリスは天才なの』

「お、アオもそう思う?待ち遠しいよね」

 食べるのが好きな者同士意気投合したらしく、会話できないはずなのにお互い言葉を掛け合って楽しそうだ。

 僕は焼けたお肉を二人の皿に入れてやる。

 お皿に入れるなり速攻で食べ始めた二人は大興奮していた。

「シープのお肉は臭みが強いはずなのに、このつけダレだと気にならないね。むしろ臭みがいいアクセントになってお互いを引き立てあってる気がするよ。すごい、お店出せるよ。繁盛間違いなしだ」

 セス君がべた褒めしてくれる。作ってきてよかった。他のみんなも焼けたお肉を食べて満足そうだ。

 

「エリスくーん。先生も食べたいなー」

 イヴリン先生がお皿を持ってこちらにやって来る。なんだか野外炊飯と言うより楽しいバーベキューみたいなノリなんだけど、先生的にはこれでいいのかな?強い魔物がいる場所では絶対できない事ばかりしている。

「いいのよー。下級生の野外炊飯はご褒美みたいなものだからー。上級生になったら嫌でも地獄を見ますからね」

 地獄を見るのか。何をするんだろう上級生の授業。

 でもご褒美なら良かった。お腹いっぱい食べよう。

 

 他のクラスの子にも味見で少しずつ食べてもらって、レシピの話で盛り上がる。野外炊飯用に先生やみんなが持ってきてくれていた調味料で何とか即興のつけダレが作れないか頑張って、一種類大量に作ることができた。そうなると後はお祭りだ。

 みんなでタレに漬けたお肉をどんどんと焼いてゆく。味が濃いから先生が持ってきてくれていた野菜と一緒に炒めて野菜炒めにしたりした。

 お肉がいっぱいあったから、それぞれの従魔達にも問題なく行き渡った。

 シロなんてお腹が膨れるほど食べている。

 キノコとお肉の味がしみ出したスープも好評で、大鍋も空っぽだ。

 あんなにあったお肉の山がとても少なくなってしまった。

 

「凄いな、料理の腕では負けを認めるしかない。でも最強のテイマーは俺だからな。次の実践授業で勝負をつけてやる」

 トレバー君がお皿に山盛りの野菜炒めを食べながら宣言する。気に入ったようで何よりだけど、フォークで人を指すのはよくないと思うよ。

 当たり屋みたいなライバル宣言をされたけど、なんだか憎めない子なんだよな。勝負してみるのも楽しいかもしれない。

 

 みんなお腹いっぱいになるまでお肉を食べて、最早休憩モードだ。草原に寝そべって寝ている子もいる。午後も授業があるんだけど、緊張感がまるで無い。イヴリン先生も苦笑していた。

「歴代の野外炊飯でもこんなに美味しい物を沢山食べたことはないですからねー。しょうがないわ。先生もお昼寝したいですー」

 寛いでいる組を眺めながら使った調理器具を片付ける。アオの浄化魔法がとても役に立った。洗い物が減るのは嬉しい。

 片付けを手伝ってくれていた子達からアオは大人気だ。テイマーの子なんて、アオに同じ力を持った仲間は居ないか聞いている。

 浄化魔法は難しいから、僕らにはホイホイ使えないんだよな。先生はどうかと聞いてみたら、魔力消費が大きいからあまり使いたくないらしい。

 

 もうすっかりくつろぎモードの子達を起こすと、午後の授業を開始する。午後もやる事は午前と一緒だ。午前中に合格を言い渡されなかった班は午後のうちに合格しないといけない。

 午前中と同じようにアオを連れていこうとしたら、用事があると断られた。シロの背に乗って森に向かうようだ。

 しょうがないのでシロにアオを任せた。まあ、午前中の様子を見る限りアオの力が必要になることは無いだろう。

 

「アオちゃんの用事って何でしょうね?お友達でも居るんでしょうか?」

 グレイスが首を傾げている。この草原はアオが居た森とは遠いからそんなことは無いはずだ。きっとなにか探し物をするんだと思う。

「アオのことだからきっと美味しいデザートでも探しに行ったんじゃないかな?」

 テディーは完全にアオをただの食いしん坊だと思っているようだ。ありそうだから僕は何も言えなかった。

 

 午後も問題なく討伐と解体を行って、僕達は先生の元に戻ることにした。

「エリス達のおかげで初討伐が上手くいってよかったよ。実は僕に魔物が殺せるのかなって不安だったんだ」

 ダレル君がそう言う。ダレル君は魔物が大好きだからな。殺すのは可哀想だという気持ちがあったんだろう。

「僕も運動神経には自信ないから、魔法を当てられるか不安だったんだ。サポートしてくれて助かったよ」

 セス君は貴族か企業お抱えの魔法道具技師志望だ。討伐の授業は特に重要視していない。進級さえ出来ればいいと言った感じだ。魔法道具技師として安定した高収入が得られるならそれでいいらしい。堅実な生き方だと思う。

 

 僕達はわいわい話しながら集合場所に戻る。そしてそこに広がっていた光景に空いた口が塞がらなくなった。

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