怠けん坊知事〔15〕
「僕の方から伝えておきたいことがある。」
と和夫が田網と梯に言う。
「鵜財建設と人材派遣会社酒多味は監視下に置いた方が良い。影化や影装は論理的に証明されていない。演出やコスプレで片付けられてしまうが、盗聴盗撮と企業機密・個人情報の漏洩は犯罪だから証拠があれば警察も動けるだろう。」
和夫が説明すると
「勿論です。」
と田網は嬉しそうに和夫の顔を見た。梯が
「鵜財建設は公共事業の落札に強いわね。社長は鵜財明万。酒多味は実弟の宵千が社長、元は惣菜スーパー酒多味で鵜財建設が買い取ってからは小売業と飲食店を中心に人材派遣もしてます。」
と和夫の説明に補足する。
「建設会社なら壁に耳あり障子に目ありの施工可能、言葉通りだ。人材派遣は堂々とスパイを送り込める。落札に強いのは情報を把握しているからだろう。宵千は先生の携帯を覗いた後、ご丁寧に電話まで掛けてるしな。」
和夫が言うと田網が
「事実なんですか。証拠は。」
と和夫に問い掛けた。
「当時は先生の携帯に履歴が残っていた。先生が相談に行っても妄想で片付けたのは中央署生活安全部だよ。」
と和夫は答えた。
「仰怪人も日向異人この時は小さな火種でした。鵜財建設と酒多味の件は報告します。森市と岸畑に関しては一旦西都原さんと田網と私で保留で宜しいですか。協力して頂けますよね、元知事。」
梯は和夫に言った。
「先生の自宅に盗聴器とカメラを仕込んだのは鵜財明万。岸畑楽の指示だ。では失敬するよ。」
田網の影から日之影 真の声がした。




