怠けん坊知事〔7〕
トントントン…スナック『さざん』の扉を叩く音がした。栞は扉の前まで行くと
「申し訳ございません。営業は終わりました。」
と返事をした。
「警察です。お聞きしたい事があります。」
田網の声がして、栞は扉を開けた。
「失礼します。」
と田網は警察手帳を提示しながら店内に入り、続いて梯も
「失礼します。」
と入って来た。栞は
「立ったままでは何ですから、こちらへどうぞ。」
と梯を西都原の右に案内して、田網をさらにその右へと座らせた。
「お仕事なので何も出しませんよ。」
と栞が言うと、梯は
「ご丁寧にありがとうございます。」
と返した。栞が
「どういたしまして。」
と梯に言うと、和夫は
「俺は要るよ。」
とねだった。栞は
「お蕎麦とおうどん、どっちにする。」
と和夫に尋ねる。
「うどん。」
和夫が答えると栞は冷凍庫からうどんを出しレンジに入れた。それを見て梯は
「もしかして〔手抜きうどん緑茶風〕ってやつですか。」
と尋ねた。田網が
「お茶漬けじゃなくてうどん漬けですか。」
と付け加える。栞が
「それもあるけど今日は焼肉のタレを絡めるわ。」
と言い解凍されたうどんに宮崎で有名な牛焼肉に合うタレを掛け再度レンジで加熱する。
「牛肉抜きだから手抜きね。狸じゃないの。お蕎麦なら豚しゃぶ用のさっぱりしたタレが合うみたい。通にはスナック料理って怒られそうだからお客様には出さないの。」
栞が言い終えると和夫は
「俺は客じゃないのか。他に手抜きはあるの。」
と追加をねだり、二人を見て梯はクスクス笑っている。
「じゃあ餃子にするね。でもかず君、食べながらでもお話聞いてあげなさい。早く仕事が終わるように。二人ともお腹空いている筈よ。」
栞は田網を見て言った。
「お心遣いありがとうございます。」
田網は栞に礼を言い、梯を挟んで和夫に
「早速ですが西都原さん、日之影真之介さんについてお聞きします。」
と言った。
「父についてですか。時系列で話しますが父に影化能力はありませんでした。」
西都原和夫は言い切った。




