怠けん坊知事〔6〕
実の声がして和夫と栞の会話が一瞬止まったが、気にせずに話を続けている。
「ママは俺のことを和君とは呼んでくれるけど、絶対和君とは呼んでくれないね。真と実はザー君・ジー君って言うのにな。」
「はぁ、突然何を言い出すの。当たり前じゃない。〔かーくん〕って言ったら〔光君〕よ。宮内庁に営業停止って言われちゃう。光君、光君なの。」
そう言って栞は和夫の薄い額を軽く叩いた。
「どうだ、天照皇大神の光だ。」
「何なの、それじゃ影一族は落し胤じゃない。」
「かもね。」
和夫と栞は実を無視して楽しそうに会話を続けている。
「ご馳走様。僕はこれで失礼します。」
実がそう言うと栞は
「ザー君、ごめん。簡単なもの作るから食べてって。」
と言う。
「今日は朱美と食べます。何か食べて帰ったら黄昏光を喰らってしまう。」
「黄昏フラッシュって何なんだ。」
実がそう言うと和夫が尋ねた。
「影化を解く術です。朱美だけが使える。」
実は答える。和夫と栞から甘い表情が消えた。
「正義さんは。」
栞の問い掛けに、実は
「ヤツにも無理だ。朱美は〈明るい嫉妬よ。〉って笑って仕掛けるけど火傷しそうな位に熱い。」
と答える。
「光はそうやって影を従えたのか。光君どころか輝姫。」
和夫が言うと、
「それこそ〔ここだけの話〕にしなきゃ。〔誰でも知ってる、ここだけの話〕にしたら後が大変よ。」
栞の言葉の後、実は
「かぐや姫って輝姫か。光る竹から生まれたし、朝廷軍をフラッシュで一掃だ。とにかく帰ります。」
実は和夫の影から即座に去った。




