怠けん坊知事〔4〕
スナック〔さざん〕のドアには〈クローズド〉の札が掛かっている。店内では西都原和夫と佐山栞が喋っていた。
「先生は『怪盗vs学者』の朗読をしてるのね。」
「今度、連中に会ったら〈僕等も聞きたかったな。残念。〉とでも惚けるか。」
「懐かしいわ。和君が当選して二人でお祝いした日のサプライズだったもの。」
「栞のオチはビックリしたな。」
「〈新知事さん、実は私、怪盗の愛人なの。証拠見せましょうか。〉ってヤツね。」
「ワルピーと南部が本当に出てきたもんな。」
「先生のコレクションね。あのモデルガン、欲しかったな。しつこい客に〈天国行と地獄行、どっちの切符買うの。〉って突き付けるの。でも日本では現実味がないかしら。」
「そうだね。みんな場所柄ライターと思うよ。天国行と地獄行は先生の口癖だ。〈天国の女神より地獄の鬼娘がいい。鬼の娘は虎縞ビキニ。〉だもんな。」
「和君は〈変態だ・だ・だ。〉って言ってたね。」
和夫と栞は『怪盗vs学者』を聞かせて貰った日の話をしている。
「それでな。俺、ヒーロー名を変えようと思う。神武男は荷が重いし、昔そのまんまのタイトルで番組もあっただろ。だから今度は南蛮男。宮崎だったらこれしかない。」
「もう、あるかもよ。」
「その時はその時さ。デザインも決まってる。白のヘルメットに短めの赤いトサカ、シールドは鶏の嘴型。上は甘酢色の長袖、下は揚げた鶏肉色。マントがタルタルソース色。ベルトはキャベツの緑。そして足元がポイント。チキン南蛮だし厨房用の短靴、色は白。靴下は付け合わせのトマトで赤だ。」
「和君が考えたの。」
「先生だ。」
「なんだかんだで、先生って宮崎好きなのね。再確認できて安心したわ。」
「今度、チキン南蛮の食べ歩きするぞ。」
「嬉しい。」
「決まりだ。」
「〔鶏のカズ〕に乾杯。」
「美味ある処に忍び寄るグルメな影。変身するぞ。〈クック・ゴー〉。」
「美味しそうね。」
和夫と栞の会話ほ続く。




