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魑魅魍魎対策室

　仰怪人がおとなしくなったのを見計い対策員は声を掛けた。

「君、暑ま来てもらうことになるけどいいかな。それとライダースーツの人、今回は礼を言うがヘルメットは外してほしい。その格好で歩き回れば不審者として通報される恐れがある。」

「無能警察の犬っコロめが。」

　ハムカイザーはそう言い、姿が次第に薄れてゆく。消える間際、仰怪人に向かって〈また会うことになるだろう〉と言った。

　対策員達が〈今のは何なんだ〉と顔を見合わせた。野次馬の中には〈特撮ヒーローかマジックショーの撮影〉だと思っている者もいるが、これだけ多くの目撃者がいて複数の動画が拡散されればもはや会見を開いて説明するしかない。

　宮崎県警はまだ仰怪人の存在を公表していない。魑魅魍魎対策室の存在も秘密裏にしている。これまでは仰怪人を社会に不満のある者が暴れたと公表すれば済んでいたが、今回はハムカイザーと名乗る者が現れた。もはや隠蔽は不可能だ。

「仰怪人だけでも手を焼いていたのだが、あそこまで堂々と名乗られるとはな。」

　魑魅魍魎対策室の室長西郷俊介はそう言ってため息をついた。

「仰怪人の身元はすぐ割れるでしょうがハムカイザーは時間がかかりそうですね。ヒーローズに相談しますか。」

　室長補佐の山村隆一の問いかけに西郷は答えた。

「慎重にやれよ。ヒーローズの存在も公には出来ない。」

「ボスは何か知っているんですか、」

　山村は西郷がハムカイザーの登場をヒーローズに伝えようとしない事が気になった。