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ハムカイザー参上
黒い影は次第に実体化していった。しなやかで薄い装甲スーツをまとったような外見だ。色は黒を基調としているが顎・肘・膝の可動部分は茶色を混ぜたような黒。胸と前腕・脛のアーマーは紫色を混ぜたような黒で微妙なメリハリが美しい。
暴れていた仰怪人も説得中の対策員もそして野次馬までが一瞬沈黙した。
実体化した影は仰怪人の両腕を押さえ、全身からは黒い靄のようなものが漂い仰怪人に絡みついて動きを封じている。
影は仰怪人に言った。
「俺はハムカイザー。宮崎の歴史を正す者だ。お前も俺達の仲間になれ。」
「お前の仲間になれば有名になれるのかよ。」
仰怪人は踠きながらもう聞き返す。
「そうだ。今のお前は繁華街で暴れたところを動画で拡散されただけのその他大勢の一人に過ぎない。だが俺の仲間になればヒーローと戦う能力を纏える。有名にもなれる。」
「俺は評価されるのか。有名になれるのか。」
「勿論だ。強くなって有名になれば、そこにいる対策員などただの雑魚に見えてくる。そして最後は偽りのヒーローを倒し目立ちまくれ。」
ハムカイザーは言い終わるとニヤリとした。