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あれは誰だ

「それにしても蝙蝠雄(バットガイ)派手にやってますね。」

 矢部は蝙蝠雄の立ち回りを格闘技の観戦感覚で見ている。

「しかも正当防衛になるように組技系(サブミッション)で確実に仕留めているよ。実に見事。さすがオッサンの弟子だけはある。」

 緑茶が喋った後に真が言う。

「おいおい、オッサンの弟子はやめてくれ。僕は関係ないからな。」

「そうか、森市 〆(もりいちしめる)を〘オッサンの弟子〙はダメだけど、君をオッサンと呼ぶのはいいんだな。」

「また先生の屁理屈論が始まった。好きにしてください。」

 緑茶と真もつまらぬ会話をしながら森市の戦いぶりを観戦している。そのつまらない会話に矢部も加わってきた。

「先生、オッサン・コッサンとザーさん・ジーさんはどう使い分けているんですか。」

「主に本人がいる時はオッサン・コッサンで正体を知っている人にはザーさん・ジーさんだ。」

「なるほど。最初、僕は真さん(まことさん)が訛ってコッサン、実さんは老けて見えるからオッサンだと逆に考えてましたね。」

 三人は…正確には二人と影の中の一人はたわいもない会話をしながら乱闘を見学している。


 森市〆は最初、蝙蝠雄の姿になり一人でニシタチを歩いていた。蝙蝠雄の格好では当然注目を浴びる。酔っ払いや興味を示す人物に話しかけられた。その都度〈不満があったらはっきり言おう。この世の中を是正するんだ。この世界を正しい方向に導かなくてはならない。そのために私は蝙蝠雄になった。庶民に寄り添い、為政者の中にも飛び込む。〉と演説のように叫んだ。

 そのうちに酔っ払いの人が一人が森市に掴み掛かろうとした。森市はその男の手首を掴み撚ると地面に捻じ伏せた。これをきっかけに乱闘騒ぎとなった。パトカーが到着して警察官が続々とやってきた。

 森市は翼を広げて宙に浮いていた。その森市に警官が

「君、降りてきなさい。署まで来て貰う。」

と言った。森市は

「何故その必要がある。私は何もしていない。敢えて言うのなら私に殴りかかってきた。男の手を掴んだだけだ。現に私は君たちから手が届かないところにいるだろう。」

 翼を広げ胸の前で両腕を組んだ森市は警官に言う。

「とにかく降りてきなさい。」

 そう言われた森市はスーッと地面に降りた。その瞬間に数人の警官が掴み掛かったが森市は警官を払い退()けた。


「見事な技だ。中国拳法(カンフー)琉球唐手(からて)の達人みたいだ。オッサンの指導がいいんだな。」

「だからそれを言うな。」

 緑茶の言葉に真が言い返した。

「だけどすごいですよ。警官が掴みかかろうとすると、手を振りほどこうとしながら警官を十分に引き寄せてまるで警官からぶっかったように拳で顎を弾いたり肘が鳩尾に入ったりしてます。動画を撮影している人間もいるでしょうが、スローで再生されたら警官の方から当たりに行ったようにしか見えない。」

 矢部は興奮きみ気味に喋った。

「本当に派手にやってるな。」

と真が言うと

「派手ですか。地味な技じゃないんですか。」

と矢部が尋ねる。すると緑茶は

「地味な技を多用してるから派手なんだ。」

と説明した。矢部は

「先生の屁理屈論が少し分かった気がします。〈地味も多用すれば派手〉てすか。」

と言った。


 森市は自分に掴み掛かった数人の警官を地面に捻じ伏せた。皆、受身か取れぬように後頭部から地面に落とされていた。

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