宮崎は気楽でいい
「正義、何ニヤニヤしてるの。気持ち悪い。」
晴香は正義を見て言った。正義は光のヒーローが地球で三分間しか戦えないのを思い出し、日向の光も精神集中できるのは三分程度だなと一人ウケしていた。
「本当、びっくり。正義がそんな顔したの初めて見たような気がする。」
「俺も人の子だ。たまには気が緩むこともある。」
「ヒーローって人の子なの。神の子かと思ってたわ。まぁ、私もそうだけど。」
正義と朱美が緩めの会話をしていると、チャイムが鳴った。モニターを通して岩宿が
「遅くなりました。」
と言う。晴香はドアを開け、
「ガンさん、いらっしゃい。」
と迎える。
「それじゃ、私は外を散歩してくるね。用がある時は電話して。」
と朱美は入れ違いで部屋を出て行った。
「ハムカウジーが来ていたのか。」
岩宿が尋ねると、
「そうなんだ。朱美の影の中で寝ていた。」
と忠孝が答える。
「実君も以外とのんびりしてるのね。仲良過ぎ。」
晴香は羨ましそうに言う。
朱美は天野正義のマンションを出ると一番近いコンビニに向かって歩いた。
「実、いるなら出てきて。」
実は朱美の影の中にはいなかった。朱美が電話をすると実はすぐに出た。
「私、今一人で外を歩いてるから来ていいよ。」
〈分かった。〉
電話の向こうで実は答え、即座に朱美の影から出て実体化する。
「速。」
毎度の事ではあるが朱美が言う。
「岩宿とは会わない方がいいからな。」
実はきまり悪そうに話した。
「KO事件がなかったら、私の影にずっといた。」
朱美明は確認するように実に尋ねた。
「否、それはないな。基本影者は光に呼ばれない限り参上しない。」
「おっかしい、実は呼ばなくてもしょつちゅう来るじゃない。本来、光と影って殿様と忍者みたいなものよね。いつからヒーローとその敵役の設定になったのかしら。」
「大阪城夏の陣以降じゃないのか。豊臣方の残党vs柳生忍軍と服部半蔵軍団。徳川家康vs真田の勇士達。まあ、それ以上に悪の忍者と言えば風間小太郎の影響が大きいかな。江戸中を荒らし回ったおかげで風魔小太郎なんて呼ばれてるからな。」
「どうした豊臣、どうする徳川か。緑茶先生の好きそうな話よね。あ、そうそう。今度緑茶先生に『大泥棒の孫vs変人物理学者』と『変身ヒーロー』の話しっかり聞いといてね。」
朱美は光と影の話から緑茶五右衛門の小説に話題を移し、更にに話を続けた。
「みんなには食事してから戻るって言うわ。用件は後から聞いてもいいし。」
「そうするか。」
実と朱美はコンビニの前を素通りして中華のチェーン店に向かう。
「宮崎はこういう時が楽ね。この格好で入れる。」
朱美は伸びきった普段着のジャージを正当化するように言った。
実は〈その格好でか。〉と言おうとしたが、先に言われてしまって苦笑いをした。




