光目録(ヒーローもくろく)
光 の三人は天野の部屋で話を続けている。
「天野、どこから話を進めていくんだ。」
安川は天野に問い掛ける。
「とりあえずは変身前の影化した影とどう戦うかだ。」
天野が答えると岩宿が喋り始めた。
「どうもこうもない。変身して戦えばいいんだ。そしたらあの程度の回し蹴りは〈蚊が刺したよりこたえんぞ。〉とヒーローらしい堂々とした口調で影に言い返せる。」
「しかし変身した我々が影を追い回すのは傍から見ると惨めな光景だな。本来はヒーローとは人前で常に堂々としていなければならないと光目録 にも記載してある。怪人が人間化している時は変身せずに戦う事、とも。」
安川が言うと岩宿が再び喋り始めた。
「めんどくせぇな。見てくればっか気にするから影に好き勝手されるんだ。」
安川も再度、岩宿に言う。
「それは当然と言えば当然だ。ヒーローは 古から良いとこ取りだった。穢を全部影に押し付け、ヒーローが晴である以上見てくれも重要だ。」
「緑茶の野郎の小説でも読むか。神と人間、経営者と従業員、上司と部下、野郎の小説は必ずトップ・ダウンとボトム・アップの両方の視点で描写している。」
岩宿が喋り終えると天野が言った。
「岩宿も読書する気になったか。 だったら緑茶先生の身体革命を読んでみたらどうだ。」
「面白いのか。」
「どんな本だ。」
岩宿と安川が立て続けに問い掛けると天野は内容を話し始めた。
「生物の進化を産業構造に置き換えて説明している。狩猟・漁撈が単細胞生物から進化した状態。そこに農耕が加わると魚類・両生類・爬虫類。製造業の産業革命までが鳥類と人間を除いた哺乳類。IT革命からが人間だ。」
「緑茶らしいと言えば緑茶らしいが突飛な例えだな。」
安川が言うと岩宿は
「いや、意外と的を得てるかもしれん。緑茶の野郎は最後は必ずごちゃごちゃした内容を単純にまとめるだろ。」
と天野に尋ねた。
「その通りだよ。〈人間は第一次産業が内臓、第二次産業が手足、第三次産業が脳。この三番目が厄介だ。〉と締め括っている。」
天野が喋り終えると安川が笑いながら言った。
「何が言いたい。解ってるけどな。」
「つまりは〈光目録〉に従うしかないんだ。」
天野が言うと岩宿は
「結局はぐるぐる回ってそこに戻ったか。〈光目録に従うしかない。〉言えばそれだけで済んだ訳だ。」
と皮肉っぽく言った。
「回り回った話ではなく、事象のデータとして解釈して欲しい。」
「我々に必要なのは〈光目録〉じゃなくて〈光AI〉だな。」
岩宿が喋り終えると安川が天野に問いかけた。
「今までの話、自分で資料を集めて検証したのか。」
天野は
「魑魅魍魎対策室の梯絵楠君が教えてくれた。」
「そうだと思ったよ。」
「天野にしては出来過ぎだ。」
安川と岩宿は言った。




