立ち位置
岩宿が日之影実にKOされた翌日、森市〆は自分のラジオ番組で宮崎を盛り上げる話をした。
〈シーガイアのホテルは海から見ると確かに目立ちます。でも海から陸地を見て、もっと巨大にとそびえる塔があれば宮崎はもっと有名になるんじゃないでしょうか。例えば平和台公園の辺りにバベルの塔にも匹敵するような巨大な塔があったらどうですか。〉
天野、岩宿、安川の三人は いつものように 天野の部屋に集合していた。
「岩宿、挑発に乗りすぎだよ。」
「実の野郎、変身しなかった。変身したらこっちも変身して思う存分に力を発揮できたんだ。」
天野が岩宿に話しかけると岩宿は悔しそうに言った。
「それにしてもた、過去に光と影が戦った記録はあるのか。」
安川が天野に尋ねた。
「正式には残っていない。」
天野が答えると安川は皮肉混じりに言う。
「そうか、所謂隠蔽と言うやつだな。行政と司法に捏造と隠蔽は付きものだ。」
「ヒーローらしくない言葉だな。昔のヒーローが聞いたら〈最近のヒーローは質が落ちた。〉と嘆くぞ。」
安川の言葉を聞いた岩宿が笑いながら言った。
少し間を置いて天野はラジオのスイッチを入れ喋り始めた。
「〈最近の若い者は…〉は一旦置いといてだ。森市〆の放送を聴こう。」
ラジオでは森市〆の『スカッとモーニング』が流れている。
〈かつて神武天皇は東征して小さなクニを統一、日本を造りました。今はITで世界が繋がる時代です。宮崎から日本を越えて世界規模で繋がりましょう。こんな風に言うと巨大な妄想だと思われがちですが、宮崎からまず文化を発信しようと思います。小さなことからコツコツと積み上げましょう。宮崎には優秀な人がたくさんいます。君たちも僕たちの仲間になりませんか。僕たちは仲間だ。君の人生では君が主役なんだ。その世界では君が王だ。世界の王に君はなれ。〉
「歴史書や人気番組、人気アニメのパクリが多いな。」
岩宿が言うと安川も話し始めた。
「緑茶五右衛門風表現もある。」
「どれだ。」
岩宿が問うと安川は答える。
「緑茶はいつも〈物語には主役と脇役が存在します。でも君の人生の主役は君です。〉と言う。〈見る角度を変えるだけ、裏からも見てみよう。君が主役の立ち位置があるかもしれない。〉とも言う。社長が飾りで営業本部長が実権を握っている場合だってある。大王と豪族、帝と関白だな。」
「つまりは光と影と言うことか。」
岩宿は笑いながら言った。そんな中、天野が口を挟んできた。
「森市〆は日之影兄弟と岩宿の対決場所を知っていたぞ。少し調べておく必要がある。」




