平和台公園にはバベルの塔を
森市〆は自分の体にパワーが漲ってきたと感じていた。実際にそうかどうか判らないのだが、今日見たヒーローと影の対決で世の中を支配しているのは影なのだと実感できたからだ。
〈ヒーローとはあんなにも脆いものなのか。ハムカウジーの後ろ回し蹴り一発でKOされてしまった。これが子供向けのヒーローモノなら[仲間達と努力して勝利へと繋げる]のだろうが現実は違う。金にモノを言わせ政治家や警察、つまりは行政・司法に根回しをする。最後は自分が権力を握りその為の法整理を行えば良い。立法まで掌握すれば三権支配だ。更にマスコミまで手なずければ堅固な正四面体社会の国家が築ける。これが俺の役割だ、天職だ。〉
森市の脳内には世界を征服するための構図が出来上がり始めている。その第一歩は宮崎制覇だ。
〈神武天皇のように東征して日本統一などと小さな目標ではない。世界を俺のものにするのだ。世界の王に俺はなる。心の影を照らすのだ。これこそが真の天照だ。そのためには心の声を聞かなければならない。俺の声を伝えるのはラジオだ。あのアドルフ・ヒトラーのように演説して俺の声を伝え、心の声を投稿させる。そして世界を変える。それが俺の役目だ〉
日之影真は森市〆の影の中にいた。
〈妄想が暴走し始めたか。このままではヒーローと正面衝突必至となる。 民主主義が壊れ始め、SNSで心の声を晒け出す時代だ。転換期かもしれないな。〉
影の中から森市の妄想を読み取った真は影から去ると弟の実に伝えた。
「お前が煽て上げるから、森市の暴走が加速し始めたぞ。」
「あいつのことだ、そのうち平和台にバベルの塔でも作るだろうぜ。」
実は笑いが止まらない。




