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灰色の言霊

 天野、岩宿、安川の三人は宮崎神宮での仰怪人の行動を検証していた。

「いくら仰怪人とは言っても姿格好が一般人のままでは何もできんな。」

 安川がもどかしそうに言う。

「IT社会になってからは特にそうだ。心に闇を潜ませても行動が法曹上問題なければ我々は動けない。」

 天野は安川の言葉を後押しするように付け加えた。

「手強いと言うよりはやりにくいな。ハムカイザーやハムカウジーのように完全に怪人と化してくれれば正面切って戦えるのだが、いくら暴れまわっているとはいえ一般人を変身した我々が取り押さえたらフェイクヒーローだと動画をアップする者も現れるだろうな。」

 岩宿はグレーな仰怪人に対しての苛立ちを抑えている。

「確かに仰怪人が暴力ではなく言葉で意思表示をしている以上は我々は何もできない。」

 安川も行動の切っ掛けを掴めないでいた。

「灰色の言霊か。感染症のように厄介だ。」

 天野は呟いた。


 三人は事件当日の仰怪人と一般人の行動を再現していた。

「やはり一般人が仰怪人に詰め寄って殴る前に静止する時間は十分にあったな。」

 安川は〈なぜ、あの時警察は止めなかったんだ。〉と言わんばかりの表情を浮かべている。

 少し離れた場所から声が聞こえてきた。

「変身、軽挙妄動ケイソツダー。」

芸妓(げいぎ)能動キャバレイジョー」

 歩いて来たのはコスプレをしたカップルだ。時折立ち止まってはヒーローモノのポーズを取っている。参拝客の中には携帯で写真や動画を撮っている者もいた。

 男性のコスプレは州警察(アメリカンポリス)の制服をアレンジしている。女性の方はあまり露出が多くないが昼間にしては色使いがちょっと派手目なのと、夜の繁華街に似合いそうな大きめで派手なアクセサリーを付けていた。

「仰怪人ではなさそうだな。」

 安川が言うと岩宿は

「あれは仰灰人だ。〔はい〕は灰色の〔はい〕だぞ。つまりグレーな奴等。」

と〈このギャグ滑っても構わん。〉とばかりに言い放った。

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