大泥棒の孫vs天才物理学者
「それにしても森市〆って奴はとことん陰湿・陰険・性悪だな。 先生が香さんに〈からかってるのと。〉尋ねたら首を横に振らせて、仙道深雪には〈友達は緑茶が好きなんです。〉って言わせるんだからな。」
実がそう言うと緑茶は
「とりあえずその話は置いておこう。それよりも真君のリクエストにお答えして『大泥棒の孫と天才物理学者』に登場する〈黄金のP-38〉の話でもするか。まぁ表題は短く『怪盗と学者』にするけどね。」
「先生、頼みますよ。」
真はいつになく上機嫌だ。緑茶も嬉しそうに喋り始めた。
「僕のモノ造りの師匠にあたる人がいるんだが、妹さんがドイツ人と結婚した。その師匠がドイツに行った時に興味深い都市伝説を聞いた。ワルサー社がヒトラー総統に黄金のP-38を献上した話だ。問題はそのワルサーP-38だが、当然ながら純金にしたら重量も三倍だし強度からしても実射は無理だ。しかしそこは流石にドイツ人、14金や18金を多様して総重量を二倍弱に抑えたらしい。ハンマー等は耐久性を考慮して量産品のモノを流用したとかで実際純金なのはグリップ・パネルぐらいじゃないかと言う話だよ。結果、予備の弾倉までは撃てるらしい。」
「それで、そのワルPは今どこにあるんだ。」
真は黄金のワルサーP-38が気になって仕方がない。
「ベルリンには先にソ連軍の方が入ったからソ連軍の将校が押収してそのまま行方不明だよ。」
「典型的な都市伝説だな。」
「でも先生はそこから創作したんだろ。」
「そうだね。怪盗がソ連軍の将校宅から盗み出して自分のコレクションに加えた。次に怪盗の愛人がそれをこっそり持ち出したと言う設定にしてしている。そして事件が起きて、FBIの依頼を受けた変人学者がロサンゼルスで都市伝説通りに復元して何発発射できるかを検証する物語だよ。」
真と実は緑茶の話を興味深そうに聞いている。
「先生、時にはその物語を脳内朗読してくれないか。」
「構わないよ腐れ縁だからな。」
「それじゃ近々お願いします。」
真と実は緑茶の影から去った。




