冤罪仕掛人
青島神社に現れた仰怪人は参拝客に片っ端から話し掛けた。
「あなたは今の世の中に満足してますか。」
「正規雇用と非正規雇用の格差に満足ですか。」
「日本の経済が弱体化したのは誰のせいですか。」
「携帯電話の普及で個人情報が漏れ撒ってしまっているのはどう思いますか。」
参拝客のほとんどは仰怪人を避けたり「うざい。」と言っていたが、 中年の女性が近づいてきた仰怪人をバックで払おうとした。業界人が手でバッグを払いのけると中に入っていて物が散乱し、携帯電話は落ちて表面にヒビが入った。
仰怪人は暴行、傷害、器物損壊の現行犯逮捕となった。
日之影実は緑茶の影の中に入っている。
「 日之影真らしいと思いませんか。あの女性はパートで正社員との賃金の差に不満を持ってるんです。」
実は緑茶に話しかける。
「君達の前では個人情報も何もあったものではないな。」
「そんなそんなこと言わないでくださいよ。それよりもっと重大なことを伝えます。森市〆が先生を排除するために動き出しました。」
「宮祭香にストーカーの被害届を出させるのか。」
「お察しの通りです。もう提出したようです。これ以上先生から警察に行くのは危険かも。」
「馬鹿を言うな。こちらは事を荒立てないために行動したんだ。」
「でも先生が一日に二回三回と買い物に行ったのが防犯カメラに写っていて不利です。」
「「ラブ・ラブ・ポーション] の企画ではなくストーカー行為にすり替えたか。」
「言っときますけど先生、僕は影の操作はしてません。」
実は緑茶に言った。
「解ってるよ。」
緑茶は実にそう言い、来る時が来たな〈受けて立つしかない〉と覚悟を決めた。




