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肝胆相照キモライザー

 多網の言葉に対してハムカイザーが答えた。

「暴れさせたのではない。仰怪人は殴られたから殴り返しただけだ。但し一回殴られて五回殴り返している。」

 多網はハムカイザーに言い返す。

「殴られても殴り返さなければお前が影った男は一般人のままで逮捕されることはなかった。」

「僕は本人の意思を尊重しただけだ。殴られても殴り返さないなんてそんなふうに人を操作したりはしない。」

 落ち着き払って話すハムカイザーに多網は

「ふざけるな。」

と怒鳴った。

 そんな多網を見た梯がハムカウジーに話しかけた。

「あなたたちは自分たちの独断と偏見で行動しているだけではないの。只の自己満足でしょう。」

 ハムカウジーは梯に言う。

「絵楠君、勘違いをしてもらっては困る。太古の昔から我々はこのように行動していたのだ。我々は影に入って心の声を聞く。その心の声を聞いて対立を和らげるのが我々の役目だ。これが『和』だよ。そしてどうしてもダメな時はヒーローが登場して解決だ。我々は脇役に徹する。それが本来の表と裏、光と影の治安(まつりごと)だった。」

 ハムカウジーが喋り終えると今度はハムカイザーが話し始めた。

「二人ともよく考えてみたらどうだ。今の世の中はSNSの普及で表も裏もなくなった。心の声が表に出てくるようになった。先進国はこれにどのように対処するのかな。とにかく我々は一般人の不満を少しずつ吐き出させて爆発しないようにしているのだよ。事件にならないようにね。それが解からないようでは無能警察と言われるな。」

 多網と梯は黙ったままだ。


 暫くしてハムカウジーが絵楠に話しかけた。

「絵楠君は当然緑茶先生の小説を読んでいるだろう。だったら解るんじゃないのか。緑茶先生は常に友人と本音で接しているから知らない人がその会話を聞いたら喧嘩をしているように見える時もあるし、女性の友人となら修羅場に見えることもある。そんな描写が多いだろ。宮祭香さんの件では亜莉須ちゃんが双方から話を聞かなかったのが原因だ。テロワーズの五味田鎮夫総務部長が香さんの部下に確認せずに通報したからね。緑茶先生は香さんの部下に相談しながらテロワーズに買い物に行ったんだ。それをストーカー行為とされたことに腹を立てている。だから僕は緑茶先生と亜莉須ちゃんの影の両方に入って話を聞いている。これも裏の役目なんだよ。そうそう、緑茶先生の熱烈なファンの絵楠君に極秘情報だ。先生が新しく書き始めた自由奔放なヒロインの恋愛譚『仔猫と仔犬』ではヒロインはスーパーの総務部所属で接客担当のインストラクターで総務部長の愛人という設定になっている。妄想では大泥棒の愛人だけどね。そしてそれは表向きの仕事、裏では総務部長が経営している風俗店の仲介も行っている。顧客はその料金をサービスカウンターで払うシステムだな。面白い小説だよ。風俗店の従業員と顧客は売り場で待ち合わせをする訳だ。店名はエロワール、快楽と食文化の融合を意味する造語だよ。高級食材を扱っているスーパーならではの設定だな。では失敬するよ。」

 そう言ってハムカウジーは絵楠の影から去っていった。一方、ハムカイザーは多網に言う。

「とにかくだ、一般人の不満が募って最悪の殺人事件に発展しないように我々は努力しているのだよ。それから西郷室長と山村補佐の影には進入しない。彼らにはヒントを与えずに自分たちの頭で考えてもらう。では失礼するよ。」

 ハムカイザーも多網の影から去っていった。


 多網と梯が無言のままでいると無線連絡が入った。青島神社の仰怪人は〈肝胆相照キモライザー〉と名乗り、誰にでも話し掛けて気持ち悪がられたために逮捕されたと…

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